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矢掛町B&G海洋センター:平成3年(1991年)開設。県内の海洋センターでは初の温水プールを導入。町は健全財政で知られ、海洋センターも効率的な運営によって人口1万6000人の町にあって毎年4万人以上の利用者を記録し続けている。
昭和15年(1940年)生まれ。公立小中学校教諭、校長、モスクワ日本人学校教諭、岡山県教育庁勤務などを経て、平成17年度から矢掛町教育委員会教育長。膝痛を克服してフルマラソンやトライアスロンに挑戦した経験から、海洋センターを核とした生涯スポーツ事業に期待を寄せている。
小学生から高齢者まで、継続性のあるスポーツ環境を整えたいと考えた武教育長。「競技としてのスポーツも大切だが、日常生活に根差した健康促進のためのスポーツも大切である」と唱えます。
「トップアスリートをめざして苦しい練習に耐え、記録に挑戦していくことも、それはそれで立派なことだと思います。しかし、スポーツが本来持っているすばらしさは、それだけにとどまりません。肉体的にも精神的にも健康な人を広く育てるために、スポーツは欠かせません」
若い頃に膝を痛めてスポーツとは縁のない生活を送った結果、体重が増えて生活習慣病の危険が迫った武教育長。その状況を救ってくれたのは、諦めていたスポーツの力でした。無理のない運動メニューで徐々に体重を下げながら、結果的には膝痛を解消。筋力もついてフルマラソンやトライアスロンもこなせるようになったのですから、誰もよりもスポーツがもたらす効果を理解しています。
「スポーツは継続するほどに成果が上がります。ですから、中学の部活を3年続けた後にやめてしまうのではなく、その種目が好きなのであれば高校生や大学生、社会人になっても続けてほしいと思います。より多くの人に、生涯を通じてスポーツのある生活を送ってもらいたいですね」
武教育長を膝痛から救ったのは、毎日のようにコツコツと努力を重ねる継続的な運動でした。「定期的にスポーツを楽しんでいれば、自ずと健康も維持できる」。それが、武教育長の言う生活に根差したスポーツの発想です。
健康を維持するための日常的なスポーツの場として、特に武教育長が注目しているのが海洋センターの温水プールです。
「無重力状態に感動して以来、水泳の虜になっていますから、私自身も海洋センターのプールによく通っています。ここのプールは温水なので年間を通じて開いており、子どもから高齢者まで年齢を問わず利用できますから、生活に根差したスポーツの場として貴重な存在です」
自分と同じように、水泳本来の楽しさをより多くの人、特に成人、高齢者に知ってもらいたいと語る武教育長。道具がいらず、1人でもできる水泳は、忙しい社会人に適した手軽なスポーツであると推奨しきりです。
「子どもの視点で海洋センターの事業を考える場合が多いですが、大人こそ海洋センターを大いに利用してもらいたいと思います。大人は、自覚症状が出ないと自分は元気だと思っていて、どこか具合が悪くなって初めて健康を気にするケースが少なくありません。
具合が悪くなってはじめて何とか体重を落とそう、足腰を鍛えようと思ってプールに通い始める人が多いのですが、むしろこれからは体を動かすこと自体が楽しい、水泳が楽しいと思いながら通う人を増やしていきたいと思います」
水泳本来の楽しさを大人の世界に広げたいと語る武教育長。そのために、働き盛りの人でもプールに通って楽しむ雰囲気を作っていきたいそうです。
膝痛を克服してトライアスロンの大会に出るようなった武教育長。一つのきっかけから夢が大きく広がるところが、スポーツに秘められた大きな魅力だと語ります。
「ジョギング大会に出るようになってフルマラソンへの挑戦意欲が湧き、水泳の楽しさと出合うことでトライアスロンに魅せられました。いま思えば、一つの挑戦がきっかけでどんどん夢が広がっていきました」
もし膝が回復しなければ、トライアスロンはおろかジョギングさえもしていなかったと振り返る武教育長。スポーツは無理だとか、自分には向いていないと思っている人でも、なにかきっかけをつくってスポーツに触れてもらいたいと語ります。
「私自身、体重を減らしてスポーツができるようになってからは、膝はこうすれば痛くならないとか、ここの筋肉を鍛えておけば大丈夫といった、自分なりの判断ができるようになっていきました。これもひとえに、次は5キロ走りたいとか、次は10キロというように、その先の夢を与えてくれるスポーツのおかげです」
今年で70歳になった武教育長ですが、いまでも水泳やジョギング、サイクリングに励んでおり、5月の連休には小学4年生のお孫さんと一緒に「しまなみ街道」を周る70キロのサイクリングを走破しました。
機会があれば、またトライアスロンに挑戦したいと語る武教育長。スポーツを楽しむという夢に、終わりはないそうです。(※次回、山野通彦町長のお話に続きます)