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―中学時代はバレーボール部にいましたが、高校に入る際、3年後に地元の広島県で国体が開催されることが決まって高校にカヌー部ができ、そちらに興味が移りました。実は父が船乗りで、私も幼い頃から伝馬船で遊んでいました。ですから、同じ水の乗り物としてカヌーに親近感が湧いたのです。
■ カヌー選手として、どのような競技生活を送りましたか。―まず、伝馬船とは勝手が違って、カヌーを乗りこなせるようになるまで苦労しました。競技用カヌーは幅が狭くて、すぐに転んでしまうのです。また、高校3年生のときに広島国体が開催されて出場しましたが7位と振るわず、全国レベルの壁の高さを知りました。
その後、日本体育大学に進学してカヌー部に入りました。当時の部はインカレ5連覇中でとても強く、先輩たちの指導を受けて3年生のときに全日本選手権の4人乗り種目で優勝することができました。―風を感じ、自然と対話しながら走る爽快感がいいですね。また、おもしろいことにシングルで1位、2位の選手がペアを組んでも、シングルで3位、4位の選手のペアに勝てるとは限りません。カヌーといえども、ペアになれば団体競技としてのチームワークが問われるのです。
私はペア専門の選手だったので、チームワークを大切にしながらタイムを上げていくことに大きな魅力を感じていました。ペアで漕いでいるときは、たとえ顔を合わせなくても、相手の背中から伝わる熱気で意思の疎通が図れます。そんな以心伝心の世界が好きでした。―大学を出てからは、いったん父が乗る貨物船の手伝いをした後、養護学校に臨時採用されて教職に就きました。
ところが、地元の海洋センターに欠員が出てカヌーやカッターの教室を運営する人材を補充することになり、その話を聞いてぜひ自分がしてみたいと思いました。今年4月から海洋センターの職員として働いています。
■ 仕事としてカヌーに乗るようになった感想を聞かせてください。―これまでは、単に真っ直ぐ走ることだけに徹底していた競技の世界でしたが、海洋センターに来てからは、教室の生徒と一緒に瀬戸内の島を巡って景色を眺めながら走っています。ですから、カヌーの新しい魅力に出合った感じがして、とても楽しいです。
また、ツーリングを楽しむ年配の方々もたくさんいますので、カヌーが持つ魅力の幅の広さに感心します。これまでは競技一辺倒でしたが、海洋センターの仕事に就いたおかげでカヌー文化に触れることができました。
―目からウロコの授業ばかりで、とてもためになりました。たとえば、皆でカヌーに乗って沖に出る場合、速い人は集団の外を遠巻きに漕いで遅い人にペースを合わせます。そうすることで集団が散らばることなく安全が保たれるのですが、なるほどと思いました。
また、研修は1カ月以上に及びましたから、実習中に波や風が強くなった日もあれば、途中で雨に降られる日もありました。このように、さまざまな気象条件のなかで研修をさせていただいたおかげで、天候が変わった場合の対処の仕方が身につきました。特に、波や風が強くなったときに、どのタイミングでどのような判断を下したら良いのかということが、とてもよく学べました。
■ 水泳やヨットの実習はいかがでしたか。―水泳はともかくとして、ヨットでは何度も沈を経験しました。最初は沈をしたらいやだなと思って恐る恐るでしたが、一度沈をしたら気持ちが楽になり、それを何度も繰り返すうちに恐怖心がなくなって乗れるようになりました。
思えば、カヌーも沈を経験しながら覚えていきました。ですから、この研修を通じて体験的にヨットやカヌーを教えることの大切さを知りました。
また、一緒に苦楽を共にした研修生の仲間と交流が深まりました。地元に戻って海洋センターの事業を進めていくなかで、この人的ネットワークは大きな財産になると思います。ここで知り合った仲間とは、常に情報交換をしながら連携を図ってきたいです。
■ 海洋センターでどのような仕事に力を入れていきたいですか。―まずは、この研修で学んだ安全第一の考え方を徹底してきたいです。そのうえで、誰もが楽しく過ごせる環境を整えていきたいと思います。
また、B&G海洋クラブができていないので、ぜひクラブをつくって地元の子どもたちをいろいろな競技大会に連れていってあげたいですね。カヌーだけでなくヨットにも力を入れたいと思います。
■ お話、どうもありがとうございました。これからのご活躍に期待しています。