注目の人 平成20年度小笠原特集


平成19年度体験クルーズの様子
 31年目を迎えた今年のB&G体験クルーズ。492名のメンバーたちが全国から集まって、元気良く小笠原に行ってきました。その楽しい旅を支えてくれたのは各組のリーダーにほかありません。
 今回の注目の人では、組リーダー4名、ボランティアリーダー4名、ジュニアボランティアリーダー3名の皆さんのインタビューを、5回に分けてご紹介していきます。

※インタビューは帰港前日(第5日目)に行っています。
※各人の肩書き等は3月末日現在のものです。



第1話:この経験は将来に向けた宝物 黒岩潤也さん:3組 組リーダー/長野県飯綱町教育委員会(飯綱長三水B&G海洋センター)

黒岩潤也さん ■ 普段は、どのような仕事をされていますか。

 飯綱町三水B&G海洋センターに勤務しており、今年で4年目を迎えます。以前は町役場でデスクワークをしていました。自分としては、机の仕事より現在のように体を動かす仕事が性に合っていますね。

 なぜなら、地元で少年野球やサッカーの指導をしていて、根っからのスポーツ好きだからです。5年前には、海洋センターでニュースポーツの教室を自分で立ち上げました。

 4月からは保健福祉関係の部署に異動しますが、仕事上、B&G財団が進めている転プロなどとの関連性もあるので、海洋センター勤務の経験が大いに役立つのではないかと思っています。

■ 今回のクルーズに参加した動機をお聞かせください。

 昨年、中部ブロックで会合があった際、他の海洋センターの先輩たちから「1回でもクルーズでリーダーを務めると、仕事の幅が広がるよ」とアドバイスされたことがきっかけです。

 今回の参加に関しては、すぐに職場の理解を得ましたが少し不安でした。というもの、組リーダーとしてどのように仕事をしたらいいのか相談する人が周囲にいなかったからです。ブロックの先輩方とも、遠方なので会って話をする機会がありませんでした。

黒岩潤也さんと子どもたち ■ そのような経緯のなかで参加し、あっというにクルーズも後半です。実際に組リーダーを務めて、どのようなところがたいへんでしたか。

 最初の頃は子どもたちを集めて話を聞かせることに苦労し、騒がしいとつい大声が出てしまいました。しかし、日が経つにつれて班長たちが積極的に動いて年下の子たちをまとめてくれるようになっていきました。

 私も大声を出して注意するというよりも、ひと言ひと言をはっきり伝えるように心掛け、子どもたちが話しを聞き逃さないように気をつけました。

■ もっとも楽しかったこと、うれしかったことは何ですか。

 寄港地活動の際、昼食後に子たちと浜で遊んで砂場に埋められてしまいました。埋めた子どもたちはとても楽しそうでしたし、埋められた私はとてもうれしかったです。本当に心が通じ合えた気がしました。

■ 残り2日間、どのような形でクルーズを終了したいですか。

 私も含めて各リーダーがあまり前に出ず、一歩引いた位置から子どもたちを見守りたい。集合でも何でも、子どもたちが率先して動くようになったらうれしいです。

また、私の組のなかから、将来、リーダーをする子が出たらうれしいですね。これから、皆がどのように成長していくのか楽しみです。5日間を共に過ごした子どもたちは、私にとって将来に向けた宝物です。




第2話:この経験を基に仕事意識をチェンジしたい 佐藤良行さん:7組 組リーダー/宮城県蔵王町生涯学習課(蔵王町B&G海洋センター)

佐藤良行さん ■ 組リーダーとしてクルーズに参加した動機をお聞かせください。

 私は蔵王町B&G海洋センターに勤務しており、今年で3年目を迎えます。私の上司がクルーズのリーダーを2回経験していて、私にも「ぜひ経験すべきだ」と強く勧めてくれました。

私も海洋センターで働いている限り、クルーズでリーダーをしてみたいと思っていました。海洋センターに配属されてアクアインストラクターの研修を受けた際、B&Gプランに共感したからです。

■ クルーズのこれまでを振り返って、どのようなことがたいへんでしたか。

 自分自身が船酔いに苦しんだことです。もちろん組のなかからも酔ってしまう子が何人も出ましたから、気が気ではありませんでした。

■ 逆に、楽しかったこと、うれしかったことは何ですか。

 最初の頃は、集合に遅れたり、集まっても悪ふざけをしたりして人の話しをよく聞かない子が少なくありませんでした。そのため、態度の良くない子たちを前にして、「君たちは、このままでいのか。これで帰って本当に満足できるのか」と一度強く叱りました。

 すると、彼らは神妙になって聞いてくれました。そして、次の集合からは一番乗りで来るようになって、組全体の雰囲気も良くなっていったので、とてもうれしく思いました。

佐藤良行さんと子どもたち ■ 子どもたちから教えられたことは、何かありますか。

 突然キレてしまう子もいることから、「いまどきの子は!」と嘆く大人も少なくありません。しかし、子どもたちと船上生活を共にすることで、実はそうでなく、根本的には誰もがピュアなものを持っていることを感じました。

 ピュアな心の子どもたちを、大人社会がいじり過ぎてしまっているのではないでしょうか。先ほどの叱った例ではありませんが、物事をはっきり言ってこちらの気持ちをしっかり伝えれば、子どもたちはそれをきちんと受け止めてくれるはずだと思います。大人にもしっかり対応する努力が求められているのだと思います。

■ クルーズの経験を今後、どのように活かしていきたいですか。

 海洋センターでは数多くの教室やイベントをこなしていますが、これからはもっと深く子どもたちを見ていけるかなと思います。そして、子ども1人1人の良いところを見つけて伸ばしてあげたいと思います。今回の経験を活かして、自分自身の仕事に対する意識をチェンジしたいと思います。