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工藤 祐直(すけなお)町長
1955年(昭和30年)生まれ。青森県南部町出身。大学卒業後、民間企業を経て青森県名川町役場に就職。海洋センター勤務となり、初代育成士として活躍。その後、農林課や企画課などを経て、平成12年に名川町町長に就任。
平成18年、合併による新生南部町の初代町長に就任し、現在に至る。野球、アイスホッケー、少林寺拳法などを愛するスポーツマン。B&G財団評議員。
「町村合併によって南部町になった現在もそうですが、農業、教育、福祉が町づくりの3本柱だと考えています。農業は言うまでもなく地元の基幹産業ですから力を入れなければなりません。そして、他の2点について言えば地域を支える人づくりがテーマです。
この町で生まれた子どもは親からしつけを受けて育ち、やがて学校を出て農業などの仕事に就き、病気をしたり歳を取ったりしたら地域医療、福祉のお世話になります。つまり、人生のサイクルを3つの柱で考えたわけです。
また、この3本の柱から枝葉が分かれていろいろな町の政策が練られ、インフラなどが整備されていきます。ですから、3本の柱がリンクして大きな輪を形成していると言えるでしょう。その輪のなかで、海洋センターが担う役割は大きいです。3本柱のうち、教育と福祉に関わってくるからです」
工藤町長が考える教育とは、単に学校で勉強することだけでなく、社会体育や地域学習を含めたなかで、将来を託す子どもたちをどのように支援していくかという広い範囲に及びます。
土に触れることで自然の息吹を感じる子もいれば、作物をつくる畑の大切さを知る子もいるし、農業に感心を寄せる子も出てきます。明日を担う子どもたちに幅広い教育を施してあげたいと願う工藤町長。こうした発想のなかで、海洋センターには一歩踏み込んだ利用が考えられるようになっていきました。
その1つが、現在、地元の名久井小学校が実施しているテーマ学習に見られます。同校では、日本財団の助成を受けてB&G財団が開発した「水辺に賢い子どもを育む年間型活動プログラム」を小学4年生の“総合的な学習の時間”に導入。海洋センターの協力を受けながら、町を流れる河川の生態調査などを行う環境学習を展開しています。
「数年前、B&G財団が開発した『転倒・寝たきり予防プログラム』(日本財団助成事業)を見学し、すぐに私たちの海洋センターでも始めました。我が町でも高齢化率は高く、お年寄りの健康対策が求められていますが、その一翼を海洋センターに担ってもらいたいと思っています。
また、この事業は福祉の面で考えた海洋センターの利用になりますから、これまでのように教育委員会だけの仕事ではなくなっていきます。ですから、今後は福祉や保健といった部署との連携がカギを握ると思っています」
「転倒・寝たきり予防プログラム」の円滑な運営をめざして、工藤町長は保健課の職員を海洋センターに配置。その後は、B&G財団の職員派遣制度を利用して、保健士をB&G財団に派遣し、現在、財団の持つさまざまなソフト事業を学んでもらっていました。
「これからの海洋センター事業を考えたうえで、B&Gプランを知る保健士がいることは大きな財産です。また、私は町長になってから毎年、必ず沖縄の指導者養成研修に職員を派遣してきましたが、いまでは同じ研修を受けた仲間とも呼べる職員が、いろいろな部署に分散していて、それぞれが横の連絡を取り合っています」
「育成士会で集まれば、海洋センターの話題だけでなく、皆、それぞれの部署の話題を出し合って情報交換をしています。これは、とかくタテ割りになりやすい役場の仕事の上で大いに役立っているようです」
B&Gプランを理解する職員が大勢いて横の連携が計れていれば、「転倒・寝たきり予防プログラム」などの新規事業を展開する際も、部署間の調整が取りやすいと語る工藤町長。
これからは、指導者の資格を持つ職員が次々に管理職になっていきます。将来、彼らがリーダーシップを取ってどんな事業を展開していくのか、工藤町長はとても楽しみにしているそうです。(※完)