![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
宿泊先は、先方の海洋センターに通う子どもたちの家になります。はたして、まったく環境の異なる地域で、子どもたちは問題なくホームスティをすることができるでしょうか? それが両海洋センターのスタッフにとって最大の心配事でした。
「子どもたちがホームスティの意味を十分に知っておかなければ、ホームシックなどのトラブルが生まれてしまいます。そこで、考え出されたのが事前研修でした」
伊江島の子どもたちの場合、事前研修は5回から6回にわたって念入りに行われ、実施にあたっては村の教育委員会が全面的に協力。しかも、交流事業の参加費用に関しては村が助成するなどして、より多くの子どもたちの参加を呼びかけています。
「子どもの頃から島の外の世界を体験してもらい、しっかり見聞を広めてもらいたいと考えていたのです」
島の子どもたちに、大きな視野を持ってもらいたい。そんな思いから、伊江村では毎年、数名の中学生を夏休みにアメリカに送って、ホームスティを体験させています。高島町との交流事業も、こうした村の方針にまさしく合致するものでした。
伊江村は、昔から教育熱心な場所として知られており、沖縄県で3番目に古い130年の歴史を誇る伊江小学校は、これまでに琉球大学の初代学長など教育界で活躍するさまざまな人材を輩出しています。
「島の人たちは、教育に理解があります。ですから、高島町との交流事業で参加費を助成する案も、村議会はすんなり受け入れてくれました」
伊江島には高等学校がないため、高校へ進学する子どもたちは沖縄本島などへ渡って寮や下宿を利用しています。就職するにしても進学するにしても、義務教育を終えた島の子どもたちは、家を離れて社会に出ていかねばなりません。
高島町との交流事業やアメリカでのホームスティ事業などを通じて、子どもの頃から社会経験を積ませることに村をあげて取り組んでいる理由が、ここにあると言えるでしょう。
「高校から仕送りをしなければならない親御さんは大変です。1ヵ月あたり、下宿生1人に10〜15万円ほどの仕送りが必要ですから、高校や大学に通う兄弟、姉妹が重なってしまうと頭を抱えてしまいます」
このような事情から、村では学費等を無利子で貸し出すなどの助成を行っていますが、下宿生を抱える家庭には経済的な負担が重くのしかかります。
「それでもいいから、我が子に教育を受けさせてあげたいと島民は考えています。小さな島だからこそ、将来を見据えて人材を育てたいと思っているのです」
新たな産業を育成し、教育熱心な島の人たちを経済的に少しでも助けたい。そんな思いを抱く役場や観光協会は、日帰り客が中心になってしまった島の観光へのテコ入れを始めていきました。(※続きます)