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森田真衣さんは中学3年生のとき、当時はグアムが寄港地だったB&G体験クルーズに参加。メンバーの最年長者ということで班長を務めました。
「班長だったので、集合に遅れないように下の子の身支度を手伝ったりしなくてはならないので大変でしたが、友だちがたくさんできて良い思い出になりました。班長なのに、消灯時間を守らないで部屋の仲間としゃべり込んでしまい、リーダーから大目玉をもらったこともありました(笑)」
このときのクルーズではホエールウォッチングのプログラムはありませんでしたが、航行中にクジラを発見することができて、とても感動したそうです。
「小学生の頃からクジラやイルカが大好きだったので、船の上からクジラを見つけたときは、飛び上がって喜びました。そんな体験もあって、大学へ進学する際はどうしても動物関係の勉強がしたくなり、いろいろな大学の案内に目を通しました」
そこで探し当てたのが、いま在学している帝京科学大学アニマルサイエンス学科でした。さまざまな大学のパンフレットを手にするなかで、アニマルという文字がひときわ目を引きました。
「いま私は、野生動物とコンパニオンアニマル(飼育動物)の2通りのコースを学んでいますが、やはり野生動物としてのクジラの魅力は格別です。実は、今回のクルーズが実施される1週間前まで、2週間ほど小笠原で鯨類の調査実習をしていました」
調査実習を終えた森田さんは、山梨県にある大学に戻って1週間ほど過ごした後、ふたたび身支度を整えて「ふじ丸」に乗り込みました。
調査実習では何度も海に出ていたという森田さん。クジラの行動は常に変化があるので、毎日のように新しい驚きを発見したそうです。
「ボランティアリーダーとして今回のクルーズに参加しようと思ったきっかけは、募集案内のハガキをいただいたことにあります。内容を見たら、寄港地が小笠原になっていてホエールウォッチングも組まれていたので、それなら私でも少しは子どもたちにクジラのことを教えられるのではないかと思いました」
そんな森田さんの出番は、小笠原に到着する前から始まりました。往路で鳥島沖を航行した際、クジラが現れたのです。
「そのとき私は、一緒にいた組の子どもたちから矢継ぎ早にいろいろなことを質問されました。皆、小笠原に到着しなければクジラを見ることはないと思っていたようだったので、偶然見ることができたクジラの姿に、とても興奮していました」
実は森田さん、クルーズ初日にちょっとした心配事がありました。担当になった組には、こちらから話しかけても人見知りして会話が続かない子もいたのです。ところが、クジラ発見の出来事などを通じて、口数の少なかった子どもたちも、しだいに森田さんに話しかけてくるようになりました。
「人見知りしていた子から話しかけられるようになったら、こちらもうれしくなってしまい、いろいろな話をするようになりました。振り返ってみれば、組の子どもたちと過ごした6日間は実に楽しい思い出です。皆、私の言うことをよく聞いてくれ、船酔いの子が出ると、皆、協力して介抱を手伝ってくれました。特に、ジュニアリーダーは気配りが上手で、いろいろな場面で私を助けてくれました」
そんな子どもたちへのお返しとばかり、ホエールウォッチングの際にはインタープリター(※)さながらにクジラの行動を皆に解説してあげた森田さん。担当していた2組が海に出たときは、実に7頭のクジラが現れました。
「クルーズで体験したさまざまな出来事を、皆、良い思い出として心に残してもらいたいですね。「ふじ丸」で出会った仲間とは、これからも連絡を取りあって友情を深めていってもらいたいと思います」
そんな森田さんも、できれば来年もまた「ふじ丸」に乗って、新たな子どもたちとの出会いを楽しみたいそうです。
※インタープリター…海や山の自然を案内する人。自然との対話を助けてくれる通訳の役割をします。小山翔平君は、中学2年生のときに小笠原へのB&G体験クルーズに参加。復路で激しい船酔いに悩まされたものの、「ふじ丸」で体験した1週間の船旅が忘れられず、高校への進学時に船乗りになる道を選択しました。
「自宅から電車で1時間の距離に水産高校があったので、わき目も振らず入学して船乗りになるための勉強を始めました。それと言うのも、クルーズで『ふじ丸』に乗った際、操舵室や機関室を見学させてもらったことをきっかけに、船乗りになる夢を描いたからです。特に機関室を見た際は、普段見ることのないとても大きなエンジンに圧倒されてしまい、いつかは自分もこんな大きな機械を動かしてみたいと思いました」
船乗りのなかでも、エンジンを動かす機関長になりたいと思った小山君。水産高校に入って順調に勉強は進みましたが、昨年の9月、実習船に乗り組んでハワイまでの航海に臨んだ際、「ふじ丸」で体験したときは比較にならない激しい船酔いに悩まされることになりました。
「船酔いの苦しさは、十二分に知っているつもりです。実習船に乗ったときは、まるまる1週間、生き地獄のような生活を送りました。仲間の1人などは、吐く物がなくなって胃から血を吐き出していました」
機関長になりたいという夢がある限り、辛い道のりも苦ではないと語る小山君。今回のクルーズに参加したのも、将来の道を決めてくれた「ふじ丸」にふたたび乗せてもらい、かつて自分が体験させてもらった楽しい航海の手伝いをしたいと思ったからでした。
週末になると、小山君は地元の三豊市高瀬B&G海洋センターに出向き、ボランティアで子どもたちの指導に当たっています。今回のクルーズ参加は、海洋センターの所長さんからも勧められました。
「所長さんは、『船旅を通して、年下の子どもたちの気持ちが理解できるようになるはずだ』といって、僕を送り出してくれました。最初の3日間は、船酔いの子や病気の子が出て実に忙しい日々でしたが、そんななかで所長さんに言われた通り、組の子どもたちと接しているうちに、なんとなく彼らの気持ちが分かるようになっていきました」
なにか注意すると、その場では分かった顔をする子どもたち。しばらくすると、また同じことで注意しなければならず、苛立ちを覚えたこともあったという小山君。しかし、そんなことを繰り返すうちに、しだいに子どもたちが言うことを聞いてくれるようになり、やがて班長を中心に船の生活が順調に回り始めていきました。
「自分の頃に比べ、最近の子どもたちはおとなしいと感じた面もありましたが、班長になった子たちは責任を持って行動してくれました。おとなしくても消極的ではない子もいるのだということを知って、とても勉強になりました。また、小学生でもそれぞれに得意の分野があって、それをとても大事にしています。僕は、魚に詳しい小学生から、いろいろ魚の話を聞いてあげながら仲良くなりました」
ジュニアボランティアリーダーをしながら、どんな子どもにも長所があることを知ったという小山君。その経験は、将来、大勢の人を乗せて運ぶ船の仕事に就いたとき、きっと役に立つことでしょう。(※続きます)