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『たくさんの人にお天気の知恵を広めたい!』環境・防災の啓発に励むNPO法人 気象キャスターネットワーク


注目の人

特定非営利活動法人
気象キャスターネットワーク



特定非営利活動法人 気象キャスターネットワーク:
●沿革:2004年2月、10数名の気象キャスターによって設立。初年度から約100校の小学校で環境教育の出前授業を展開。2005年、ウェザーワールド「気象報道フェスティバル」開催。2010年、「海を知り、海を楽しむ」講座を実施(日本財団助成事業)、「お台場 水辺の安全教室」に出展(主催:船の科学館、B&G財団)、出前授業累計2500校を突破。現会員数は181名。
●賞:2004年、地球温暖化防止活動環境大臣賞。2006年、東京都環境賞知事賞。2007年、資源エネルギー庁長官賞。2009年、気象庁長官賞。2010年、地球環境大賞「文部科学大臣賞」。
藤森涼子さん:
日本テレビキャスター・気象予報士。気象キャスターネットワーク発起人のメンバーで、現代表。


 テレビやラジオの天気予報で活躍する気象キャスターの仲間によって結成された、NPO法人 気象キャスターネットワーク。地球温暖化の問題をはじめとする環境教育を小学校の出前授業で行いながら、後輩を育てる気象予報士講座を開くなど、積極的な活動を展開。現在は、ウォーターセーフティー ニッポン(水の事故ゼロ運動推進協議会)のパートナーとして、水辺の安全を含む防災啓発事業にも力を注いでいます。

 今回は、「地球環境を語るうえで海や水の存在は欠かせません。ですから、安全を心がけながら海や水辺の自然を理解することが大切です」と語る藤森涼子代表に、同法人の活動の様子をお聞きしました。

第1話:伝え手としての社会貢献をめざして

幅広く資格を生かしたい

写真:気象キャスターネットワークの代表の藤森涼子さん
現在、気象キャスターネットワークの代表を務める藤森涼子さん。「私たちはテレビやラジオのキャスターなのだから、気象予報士としてさまざまな情報の伝え手になりたい」と語っていました

藤森さんは、どのようなきっかけで気象キャスターになられたのですか。

 大学時代、人に勧められてお天気番組のアシスタントをしたことがきっかけです。それまで気象のことに大きな関心はありませんでしたが、この仕事を通じて勉強をするようになり、以後、フリーのタレントとしていろいろな番組に出させていただきながら、気象キャスターの仕事を続けてきました。

仲間とともにNPO法人 気象ネットワークを設立した経緯についてお聞かせください。

 1994年に気象予報士の資格ができてからは、私のようなお天気番組のアシスタント出身のほか、はじめからフリーで活躍する気象キャスターや民間の気象会社に勤める人など、いろいろな形で予報士として働く人が出てきました。

 そのなかで、たまたまある日、平井信行(NHK気象キャスター)と岩谷忠幸(元日本テレビ気象キャスター)の3人で昼食を共にした際、「私たちは気象キャスターとして働いているけど、テレビやラジオの番組以外でも、皆で何か社会活動がしたいね」という話になりました。

 すでに気象予報士会という大きな組織がありましたが、こちらはあくまでも気象を予報する専門家の集まりであって、しゃべる仕事の集団ではありません。一方、私たちはキャスターですから、伝え手のプロとして予報士の資格やキャリアを生かしていきたいと思いました。

環境問題に目を向けよう

具体的には、どのような活動をめざしたのですか。

 最初は会社組織にすることも考えましたが、それではフリーの人しか参加できず、テレビ局に勤務しているアナウンサーなどに声を掛けることができません。そこでNPO法人として活動することになり、私たちの経験やスキルを活かして後輩の気象キャスターを育成したり、自分たちも勉強会を開いて見識を深めていこうと考えました。

 ところが、会を立ち上げた2004年は異常気象が多発し、全国各地で集中豪雨や猛暑が発生。地球の温暖化現象に世間の目が集まるなどして、環境問題がクローズアップされていきました。

 そこで、情報の伝え手である私たちが異常気象を防ぐために何ができるのかを考え、地球温暖化の話などを子どもたちに説く、環境教育の出前授業を小学校で展開していくことになりました。

写真:小学校で環境教育の出前授業を行う藤森さん
小学校で環境教育の出前授業を行う藤森さん。現在、多くのキャスター仲間が講師になって全国各地の小学校に出向いています

どのような段取りで活動を進めていったのですか。

 ある程度、自然科学の観点で話ができる小学校高学年を対象に、話だけの場合は1時限(45分程度)、実験を含む場合は2時限程度の時間を使っていきました。

 出前授業を行う小学校については、私たちの活動を説明するパンフレットを作り、最初の頃は東京都教育委員会にお願いして募集をかけていただきました。

 その結果、初年度の2004年だけで約100校に出向くことができました。設立当初のメンバーは10数名ぐらいでしたから、1人で10校以上対応したメンバーもいました。

授業では、どのような話をするのですか。

 化石燃料の使用増大や人口の増大、森林の乱開発など、地球の温暖化について語る際にはさまざまな切り口がありますが、私たちは気象キャスターなのでお天気に関する話から始めて、異常気象の大きな原因になっている地球温暖化の仕組みについて説明していきます

 そして、地球温暖化を防ぐために、どんな努力が私たちにできるのかを子どもたちに考えてもらい、省エネに関心を持って資源の無駄遣いを防ごうという話に向います。

 ただし、猛暑日の数や大雨の際の日降水量、1時間当たりの降水量などといった異常気象に関するさまざまなデータが年々変わっていくので、それにあわせて授業で話す内容についても毎年少しずつ変わっています。また、出前授業が全国的に定着した最近では、北海道なら北海道、東京なら東京といった具合に地域に特化した話を織り交ぜることが増えてきています。

全国的な広がりを見せた出前授業ですが、近年は何校ぐらいで実施しているのですか。

 ここ3〜4年で大きな広がりを見せており、現在、年間600校ぐらいで実施しています。いまでは、気象キャスターになったら気象キャスターネットワークに入れと言われるぐらいに知られるようになっており、おかげさまで会員数も180名を超えました。

写真:研修会に集まった気象キャスターネットワークの皆さん
研修会に集まった気象キャスターネットワークの皆さん。定期的に集まって、さまざまな勉強を重ねています

会が大きく成長した理由はどこにあると思いますか。

 気象キャスターの多くが、テレビやラジオ以外でも気象予報士という資格を生かした活動をしたいと考えているのだと思います。また、そのような意識を持つ者同士の間で、局を超えた連帯意識が生まれています。

 ですから、気象キャスター同士の横のつながりで、まさに全国各地のネットワークができていきました。仲間3人で昼食を取りながら会の構想を語ったときは、まさかこんなに大きな組織になるとは夢にも思っていませんでした。(※続きます)