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村役場では、 “学生には、ご馳走を出すことなく日頃の食事をそのまま楽しんでもらうこと”、“日中は、学生たちに農業や漁業など家の仕事を手伝ってもらうこと”などを、ホームステイ先にお願いしました。
わずか1年で利用者が倍増した背景には、こうした裸の付き合いによる感動体験がありました。普段と変わらない島の生活を学生たちに送ってもらうというホームステイの約束事を守るためには、訪れる側も受け入れる側も、お互いを十分に理解し合うことが必要です。
「利用者の倍増は毎年のように続き、今年度は104校1万8,888名を数えるに至りました。最初に修学旅行を受け入れた際には、素行が悪い学生が出て『もう受け入れられない』と首を横に振る家もありましたが、利用した学生や、その保護者から寄せられる感謝の声が集まるたびに、どの家も自信をつけていきました。
事業を開始した当初、ホームステイ先に名乗りをあげた家はわずか十数軒でしたが、現在は100軒近くを数えます。すでに今年8月の時点で、来年度の予約は97校2万人を超えており、今後、この伸び率を考えたらもう20〜30軒の協力を得る必要が出てくると思います」
「この数字に加え、2万人の学生が島でおみやげを買ったり、おやつや飲み物を買ったりしますから、ホームステイ修学旅行の経済的効果は計り知れません。また、ホームステイですから事業経費もさほどかかりません。食事は普段と同じものですし、バスなどを使って学生たちを観光に連れていってあげる必要もないわけです」
人口5,000人の小さな島で、年間2億円の売り上げは貴重です。新たな産業を育てたいと村役場が願った当初の目的は、ここにきて十分に達せられたと言えるでしょう。
また、ホームステイの受け入れ先は、沖縄本島などに渡って下宿や寮で生活している高校生や大学生を持つ家が中心です。こうした家では、我が子に送る仕送りが大きな経済的負担になりますが、この事業に参加することで安定した副収入を得ています。
あるとき、高島市から訪れた修学旅行の中学生が、島の人たちと感動の再会を果たしました。この中学生、実は小学生のときに海洋センター同士のホームステイ交流で伊江島を訪れていたのです。以前、お世話になったホームステイ先に再び宿泊し、その家族と楽しいひとときを過ごしました。
「ホームステイ修学旅行に関しても、すでに5年が経過しています。昨年は、5年前に修学旅行で島を訪れた学生が立派な大人になって再び島に遊びにやってきてくれました。
より多くの学生にリピーターとなって、再度、島に遊びにやってきてもらいたい。そんな願いを叶えるために、伊江島の人たちは島の環境保全に力を入れています。
「修学旅行の学生たちは、決まり文句のように海の美しさを称えて帰ります。そこで、私たち住民も島の自然の大切さを知ることになりました。普段暮していると、地元の良さはなかなか自覚することができません。私たちも、彼らから教えてもらうことが多いのです」
伊江島の人たちは、雨で赤土が海に流れ出ないよう調整池を整備。飛行場の跡地には、樹木を植えて緑を増やしています。そのような努力もあって、一時は白化現象が止まらなかった島のサンゴは、最近になって回復の兆しが見えてきました。
全国からやってくる人と交流を深める小さな島、伊江島。心豊かな地元の人たちがいて、美しい自然がある限り、この島はたくさんの人を虜にしていくことでしょう。(完)
※イラスト:伊江村ホームページより