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〜葉山マリンキッズ〜
リーダーへのカヤック講習の様子
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「アルバイトでもボランティアでもいいから、オーシャンファミリーで働きながら海辺の自然体験教育を勉強したい」と海野氏に頼み込んだ大西さん。その熱意には、海野氏も根負けしたそうです。
「オーシャンファミリーでの仕事は楽しいのひと言です。なにをするにもとにかく楽しい! 実際に行われているプログラムに携わることも、将来の構想を考えることも、いろいろな可能性を感じられる場所なので、ワクワクしています。ニュージーランドにいる間、ヨットクラブやアウトドアースクールで毎週のように子ども向けのプログラムが行われている様子を見てきましたが、オーシャンファミリーでも同じような活動が行われています。子どもたちと一緒に海に行くと、きまって『こんなものを見つけたよ!』、『何を見つけたの?』と会話が広がりますが、そのように子どもと大人が一体になった雰囲気がとても気に入っています。私には、小さい頃から親ばかりでなく地域のおばさんやおじさんからも育てられた思いが強くあります。登下校の途中や地区のお祭りの練習、山や田んぼ、海などで私を叱り、支えてくださったのは、近所の"おっちゃん""おばちゃん"でした。それは懐かし思い出で、いまでも大切にしています。葉山でも、道端でオーシャンファミリーに関わる子どもたちに出会うと、『おはよう!いってらっしゃい』、『おかえり!』などと、必ずあいさつを交わすことができるので、とてもうれしく思っています」
海に出ると、子どもたちから質問攻めにあう大西さん。スタッフとして仕事を任されれば任されるほど、もっと勉強をしなければいけないと思うそうです。
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葉山町内の児童館で行った
『海の安全講習』の様子
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「子どもといえども、専門的なことを尋ねてくる場合も少なくありません。ですから私たちの仕事においては、子どもの好奇心に負けないように勉強を続けていく必要があります。それを怠ると、子どもの興味に追いつけない場面が出てきてしまうのです。オーシャンファミリーのスタッフになって、まず海野先生から言われたことは、『日焼けが足りない!潮くささが足りない!
1日1回、必ず海に行くようにしましょう!』ということでした。最初、私は日焼けをしていなかったから体を黒くしろと言われているのかと思ってしまいましたが(笑)、毎日海に行くことで、海(自然)や、そこに住む生き物たちと同調することができます。同じ場所の海でも、毎日入るたびに必ず何かを学ぶことができるのです」
臨時教員をしていたときに、自分は教室の授業ではなく校外に出て行う授業が合っていると自覚した大西さんでしたが、まさに海野氏も体験で学ぶことを重視していました。もちろん本や教科書で学ぶことも大切ですが、大西さんの場合、振り返れば大学でも海に出て研究した経験がもっとも印象深いそうです。
「私は、B&G財団の少年の船や体験クルーズに参加して、360度見渡す限りの海を経験しました。また、大学時代には黒潮の研究で調査船に乗り、海の広さと人間の小ささ、"自然の中に生かされている人間"の存在を実感しました。そのため、磯や浜での海体験と同じぐらい、船で大海原に出る体験も大切だと思っています。より多くの子どもたちに、船に乗って海に出てもらいたいですね。きっとそれぞれが何かを得て陸に戻ってきてくれるはずです。その意味において、現在でも毎年実施されているB&G体験クルーズは、磯や浜での活動を主体とした沖縄での体験セミナーと相まって、たいへん貴重な企画だと思います」

これまでの歩みを振り返って、「現在の自分があるのは、多くの人々からお世話になったおかげです」と語る大西さん。Pay
it Forward〜自分が与えてもらったものを、次の人へ渡していく〜 これからは、自分が次世代の子どもたちに何かを与えていきたいと、大いに張り切っていました。