神奈川県横浜市の八景島マリーナで「B&Gレベルアップ研修会(ヨット編)」を開催
小松 一憲 氏を講師に迎え、ヨットの指導技術向上を目指す!
平成22年12月3日(金)、4日(土)の2日間、神奈川県横浜市の八景島マリーナで、「B&Gレベルアップ研修会(ヨット編)」を開催しました。
ヨット実技のレベルアップ研修会は、前週の岡山県牛窓ヨットハーバーに引き続いての開催。八景島マリーナでの開催は昨年に続き2回目です。
今回の研修会には、福岡県や愛媛県など1都8県から、地域で活躍する18人が参加。選手・監督・コーチとして8度のオリンピックを経験している、B&G財団テクニカル・アドバイザーの小松一憲氏を講師に迎え、参加者は、2人乗りスループ艇(今回の研修では470級ヨットを使用)の基本技術や安全管理について学びました。
なお、今年中国で開催された第16回アジア大会セーリング競技470級では、小松氏が監督として指導するチームアビーム所属の選手が、男女ともに金メダルを獲得する快挙を果たしています。
(岡山県牛窓ヨットハーバーで実施された研修会の様子はこちらから)
研修1日目〜強風のため海には出れず陸上練習
低気圧の影響で全国的に強風が吹き荒れた研修1日目。八景島マリーナもご多分に漏れず、小松講師でも「乗ることは出来ても思い通りには走らせられない」ほどの強い風が吹き続き、残念ながら海上には出られず、講義と陸上練習のみの内容となりました。
開講式に引き続きハーバー内で行われた講義では、小松講師よりスループ艇の艤装や基本技術、またこの日の天候を参考に風力・風速についての説明がありました。講義が熱を帯び、子どもたちへのヨット指導のことに話が及ぶと「ただ勝つために技術を教えているのでは楽しくない。“海が好きで、ヨットが好きで、ヨットレースが好き”というセーリングの楽しみを、子どもたちに感じてほしい」と熱く語っていただき、参加者は小松講師のその言葉に大きく頷きながら耳を傾けていました。
その後、場所を外へと移動し、1人乗りヨットでは体験することの出来ないトラビーズ(強い風でもヨットを出来るだけ水平に保つように、ヨットの外にからだを乗り出し、マストの上から下げたワイヤーをからだを使って操作すること)の陸上練習を実施。トラビーズをする際の必要装備であるハーネスの着用方法から、動作の手順、姿勢のポイントなど、小松講師がわかりやすい言葉で詳細に指導してくださいました。
一通り説明を聞き終えた参加者は、4〜5人ずつのグループで4艇のヨットにわかれ、それぞれ1人ずつ順番に指示されたトラビーズの陸上練習メニューを体験しました。
ちょうど全員が体験し終えた頃、突然強い雨が降り出し参加者は再び室内へ移動。研修初日は天候に振り回されるかたちとなってしまいました。室内では、小松講師に改めて講義いただき、参加者はDVDの映像を参考に、トラビーズのポイントの復習や、3枚帆での帆走時に使用するスピンネーカー(お正月に揚げるタコを巨大にしたような軽い帆)の揚げ方などについて学びました。
そして1日目の最後は安全管理について。小松講師がロープを使った救助法や曳航法の手順や注意点を、室内での実演を交えながら丁寧に解説くださいました。
小松講師からお話しいただいた「漁師のロープは一見かごにまとめて入れてあるだけのように見えるが、あれは使う際にヨレがなくすぐに使える状態になっている。ロープはコイルしてあればいいということでなく、使いたいときにすぐ使えるかどうかが重要」「救助艇での救助の際には、ボートフックのように長い棒が非常に有効なので常に携帯すること」「ロープはとにかく長い方が良い、曳航の際にも有効」などの具体例に、参加者は真剣な表情でメモを取っていました。
研修2日目〜バディを組みトラビーズに挑戦!
2日目は、前日と打って変わってすがすがしい青空。しかしながら、朝の風速は1メートル以下と、セーリングを楽しむには相変わらず難しいコンディションに、参加者の表情も不安気です。とにもかくにも、風が上がることを期待して、参加者同士2人ずつバディを組み470級ヨットの艤装にとりかかります。参加者のほとんどが普段2人乗りヨットに接する機会がなかったため、互いに教えあいながらの艤装で若干時間がかかってしまいました。苦労したおかげか、準備が終わる頃には少しずつですが風が吹き始め、このまま風が強くなることを期待して、一斉に出艇となりました。
約1時間のセーリング中、残念ながら期待したほど風速は上がらずに、まずは風をつかむことに苦労した様子の参加者。風が弱かったせいか、トラビーズにも挑戦できた艇とできなかった艇がありましたが、参加者はジブセールの操作など、スループ艇ならではの魅力を体験しました。スピンネーカーについては、艤装はしたものの実際に揚げて帆走できた艇は少なかったようでした。
着艇後、研修終了の予定時間をすでにオーバーしていたため、次のスケジュールがある小松講師は、海上での指導中にいくつか気になった点を指摘し、一足先に会場を後に。忙しいなか、時間ギリギリまで熱心に指導いただいた小松講師の思いに、参加者・スタッフ全員が胸に熱いものを感じました。
片付け後には室内で閉講式が実施され、参加者一人一人に修了証が手渡されました。
研修を総括してB&G財団事業部次長の菱木より「天候が心配であったが、皆さんにスループ艇やトラビーズを体験してもらうことができて良かった。技術をすぐに習得することは難しいかもしれないが、2人乗りヨットの魅力を感じていただき、地域で子どもたちに紹介や提供をしていってほしい。」と話があり、2日間の全日程を終了しました。
引き続き、「参加者の感想編」をご覧ください!