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研修で得た体験と仲間の輪は、大きな財産です。〜第11回指導者養成研修に励んだ、選手経験を持つ参加者たちの声〜


第11回指導者養s成研修
 平成21年度の指導者養成研修が6月5日から7月9日にかけて沖縄で実施され、アドバンスト・インストラクター養成研修に45名、アクア・インストラクター養成研修に41名が参加しました。このなかには、カヌーやヨットの選手として活躍している人もいましたが、そんな彼らも改めて基礎からさまざまなスキルや知恵を習得し、海洋センター指導員としての第一歩を踏み出しました。マリンスポーツに精通しているアスリートたちにとって、この指導者養成研修はどのような体験になったのでしょうか。4週にわたって、4名の参加者から研修の感想や今後の抱負などをお聞きします。

第2話:地元に戻ったら、ヨット以外の活動にも力を入れたい/松苗幸希さん(22歳):アドバンストインストラクター研修生/室蘭市B&G海洋センター/レーザーラジアル級ヨット日本代表選手

鹿児島での練習は寒かった

松苗 幸希さん
松苗 幸希さん:アドバンストインストラクター研修生(室蘭市B&G海洋センター/レーザーラジアル級ヨット日本代表選手)
 ■ 松苗幸希さんは、2009年レーザーラジアル級ヨット世界選手権大会(今年8月に佐賀県唐津市で開催)の日本代表選手の1人に選ばれた、現役真っ最中のアスリートです。どのようなきっかけでヨット選手の道を歩むようになったのですか。

 ―小学4年生のとき、仲の良い親戚の子が地元のジュニアヨットクラブに入っていたので、練習についていって乗ってみたのがきっかけです。当時、私は札幌に住んでいたので、そこからほど近い小樽の海が練習場所でした。

 ■ ヨットはすぐに好きになりましたか。

 ―札幌市内に住んでいたこともあって、町を出て海に行くこと自体が楽しかったです。クラブに入って週1回のペースで練習するようになり、自分でセールや舵を操って好きな場所に走っていけるところにヨットの魅力を感じました。また、クラブの子たちと仲良しになれたことも、ヨットを続けていく支えになりました。

指導者養成研修でシーホッパー級に乗る松苗さん 指導者養成研修でシーホッパー級に乗る松苗さん。大学では2人乗りのスナイプ級で活躍しましたが、1人乗りのシングルハンド艇も得意です
 ■ 学校ではどのような生活を送っていましたか。

 ―チームの仲間同士で支え合う団体競技も好きで、中学、高校とバスケットボール部に入っていました。平日は学校でバスケットボール、週末になると、中学時代はジュニアヨットクラブでOP級ヨットの練習、高校に入ってからは北海道セーリング連盟のもとでシーホッパーSR級の練習に励みました。

 ■ 高校を卒業した後は、鹿児島県の鹿屋体育大学に進学し、ヨット部で活躍されましたが、南国の生活環境に戸惑いはありませんでしたか。

 ―実は気候に慣れず、大学2年生のときに夏バテで入院したことがありました。冬も寒くて辛かったです。というのも、北海道では冬はまったく乗りませんから、寒いなかでの練習経験がありません。しかし、鹿児島では厚着をして何とか海に出てしまうので、寒さと格闘することになるのです。


成果のあったプールの出前ヨット

ヨットの実習が終わった後、艤装品のチェックを行う松苗さん
ヨットの実習が終わった後、艤装品のチェックを行う松苗さん。他の研修生たちに注意点などを教えていました
 ■ 4年生のときにインカレ団体優勝を果たすなど、充実した大学生活を送った後、松苗さんは今年4月に北海道室蘭市の体育協会に就職し、現在、海洋センターに勤務しています。まだ数カ月しか過ぎていませんが、仕事には慣れましたか。

 ―海洋センター艇庫は室蘭のマリーナ内にあって、ヨット活動をするには最高の環境が整えられています。4月は寒くてあまり活動できませんでしたが、5月に入ってさっそく地元小中学校のプールで出前ヨットの体験教室を開きました。

 人に何かを教えることは好きなので、出前ヨットのような仕事は自分にとても合っています。子どもたちは素直にヨットと向き合ってくれ、何人かが海洋センターのヨット教室に参加してくれるようになりました。成果を得ることができて、とてもうれしく思いました。

 ■ ご自身の練習も就職後すぐに再開し、2009年レーザーラジアル級ヨット世界選手権大会の国内選考会を勝ち抜きました。この大舞台に挑んだ理由を聞かせてください。

 ―まずは、就職した海洋センター艇庫に北海道セーリング連盟のレーザーラジアル級ヨットが保管されていたことです。日本で同級の世界選手権が開催されることなんてめったにありませんから、この2つの偶然を活かして挑戦してみたいと思いました。

 そのため、海洋センターを拠点に地元の中高生の指導をしながら自分も一緒に乗ってセーリングの勘を取り戻し、なんとか国内選考を通過することができました。世界選手権大会では、自分が世界や日本のなかでどのレベルにいるのかを知るとても良い機会だと思っています。

 また、今回の挑戦をきっかけに世界へ向かう気持ちが高まりました。世界選手権大会では来年以降につながるレースをして、できればロンドンオリンピックをめざしてみたいと考えています。

研修で培った仲間の輪

海洋レクリェーションの体験実習 スノーケリング 海洋レクリェーションの体験実習では、サンゴの海でスノーケリングも行いました。研修を通じて、ヨット以外のさまざまなマリンスポーツに触れることができました
 ■ 選考会を勝ち抜いた後には、今回の指導者養成研修が待っていました。この研修でどのようなことを得ましたか。

 ―水泳もカヌーも大学で習っていたので心配しませんでしたが、知らない人同士で1カ月も一緒に研修生活を送ることに少々不安がありました。でも、実際に研修が始まると日を追うごとに仲間同士の絆が深まって、とても良い人間関係を築くことができました。皆が地元に帰ってからも、きっと仕事の相談などで連絡を取り合っていくのではないかと思います。この人脈形成は思ってもいなかった財産です。

 また、私は体育大学出身なので海洋センターでフィットネス教室もしてみたいと思っていました。ですから今回の研修でフロアリズム運動プログラムを教えていただき、とても参考になりました。私たちの海洋センターには艇庫しかあませんが、多目的ルームを使っていろいろなメニューを工夫しながら行っていきたいと思います。

 このほか、ライフセービングの教科も為になりました。救急の大切さを知ったことを、今後の海洋センター活動に活かしていきたいと思います。

 ■ ぜひ、いろいろなことにチャレンジしながら、活力のある海洋センターにしていってください。インタービュー、ありがとうございました。