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特集:海洋センターの活動を支える指導者会

海洋センター同士の連携が求められる時代が来た

特集その3:可児市B&G海洋センター(岐阜県)の取り組み

八百津町B&G海洋センター  ■プロフィール
 

開設:昭和56年。施設:プール、体育館。運営管理:可児市教育委員会。指導者会発足:平成18年1月。現在の会員数:62名(有資格者の市職員で構成)。海洋センター開設後、周辺地域にグラウンドやテニスコート、弓道場などが整備され、市内スポーツ施設の中核をなす。平成16年にはプールサイドの全面改修を実施。

 

 スポーツ健全育成の鍵は、よりよい指導者の確保にあると言われます。特に、マリンスポーツの場合は、初めて体験する人に教えるケースが多いので、充実した指導体制が求められます。
 そのため、地域海洋センターのなかには知恵を絞って十分な数の指導者を確保し、指導者会を組織しながら活発な活動を続けているところも少なくありません。
 今年度、B&G財団では「指導者会の設立」を促進しています。そこで、今回の注目の人では指導者会を組織している地域海洋センター3カ所にスポットを当て、会が発足した経緯や現在行っている活動内容などについて取材しました。


県連協のなかで評議会を設立
マリンスポーツフェスティバルの様子
マリンスポーツフェスティバルでヨットやカヌーを楽しむ子どもたち

 指導者資格を持つ60名以上の市職員が集まって組織された、可児市B&G海洋センターの指導者会。運営が開始されて半年が過ぎたいま、新たな課題も出てきました。

 「指導に来る人と来ない人に分かれてしまい、活動の現場で見る顔ぶれはいつも同じという状況がよく見られるようになりました。特に年長の指導者は、PTA活動やスポーツ少年団の指導で忙しいケースが多く、海洋センターの活動を含めてすべてをこなすことが難しいのです。
 指導者会は、本来の仕事に支障のない範囲で指導を手伝ってもらう人的支援の組織ですから、それはそれで仕方がないことだと思います。また、教室のメニューによっては専門の講師に指導をお願いする場合もありますので、その費用を工面していく努力も求められています」

 いくつかの課題はあるものの、認識を新たに60名以上の組織が立ち上げられたことの意味は大きく、指導者会は地域ぐるみで企画される大きなイベントでの活躍も期待されています。

 「岐阜県B&G連絡協議会(県連協)では、毎年、八百津町B&G海洋センターを会場に『マリンスポーツフェスティバル』を開催しており、カヌーやカッターなど、さまざまな体験試乗会を開くなどして多くの参加者を集めています。可児市B&G海洋センターも主催者の一員としてこのイベントに参画していますので、今後は運営面において指導者会の力が大いに発揮されていくことと思います」

フェスティバルを支えるスタッフ
マリンスポーツフェスティバルには、大勢のスタッフが動員されて来場者に対応しています

 1つの海洋センターだけではできない大きなイベントも、県連協が力を合わせれば可能になります。岐阜県B&G連絡協議会では、センター所長と担当職員が集まって現場の情報を交換する県連協評議会を設立し、より緊密な連携をめざしています。

 「海のない土地柄、マリンスポーツに親しむ機会が少ないので、可児市だけで『マリンスポーツフェスティバル』のようなイベントを開くには難しい面がありますが、県連協が力を合わせることで地域の恒例行事として盛り上げることが可能になります。そもそも、県連協の会議には海洋センターを持つ自治体の助役レベルが集まることになっていますが、忙しい助役さんたちには荷が重い面も否めません。そこで、県連協の会議の前に、現場レベルの責任者が集まってさまざまなテーマについて討議する評議会を設けました。各海洋センターとのパイプづくりは大切です」

 常に話し合いの場を設けていれば、困ったときにはお互いに助け合うことができます。可児市B&G海洋センターでも、カヌーの数が足りないときには近隣の海洋センターに声をかけて融通してもらっているそうです。県連協を通じて交流の輪を広げる可児市B&G海洋センター。その活動を支えていく面においても、指導者会を立ち上げた意味は大きいと言えるでしょう。(完)


 施設の無償譲渡、その意味を原点に戻って考えよう

可児市長と教育委員会課長
山田 豊 可児市市長(左)と、可児市B&G海洋センターの運営に携わる、可児市教育委員会事務局の荘加淳夫 課長

お話:山田 豊 可児市市長

 市町村合併が進むなかで、今後、地域海洋センターをどのように取り扱っていくべきか頭を悩ませている自治体も少なくないようです。確かに、合併によって運営経費や職員配置の問題が新たに浮上することもあり、なかには「もう海洋センターの運営は難しい」などと消極的な考えになっているところもあるようです。

  合併後の海洋センターをどうするか、それを担当部署のスタッフだけで考えることには無理があり、それなりの責任者を含めたより多くの人の話し合いが必要です。ざっくばらんに意見を出し合いながら、十分に協議することが大切です。

 ですから、県連協やブロック連協という話し合いの場が求められるのです。自分のところの自治体だけで考えるのではなく、他の地域と十分に連携を深めて意見を交換する必要があるわけです。私が聞いたところによると、海洋センター同士で連携を深めながら、行政の枠を超えてすばらしい活動を展開しているケースもあるようです。海洋センターを合併のお荷物として考える前に、施設を無償で譲渡していただいたときの原点に戻って、運営のありかたを考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 私ども岐阜県は海のない地域ですから、県連協を通じて、いかにマリンスポーツをこの地に普及させたらいいのか常に話し合ってきましたが、こうした連携をもとに運営努力をしなければ、せっかくいただいた施設が有効活用できません。B&G財団が取り組んでいるさまざまなプログラムに関しても、各海洋センターがしっかり取り組まなければ意味のないものになってしまいます。

 施設を十分に活用するためには、スタッフを揃えて他の海洋センターと連携していくことが大切です。可児市もそうですが、海洋センターを持つ自治体には指導者資格を持つ職員がかなりいることと思います。彼らが中核となって力を発揮できるよう、指導者会をしっかりした組織に育てることが大切です。そして、指導者会をもとに県連協、ブロック連協と、海洋センター同士の交流を深めていくべきだと思います。



第1話

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