Jrボランティアとしては初、メンバー時代を合わせると計6回目の参加となった菊池君

　メンバーの最高学年（中学３年生）と１学年しか違わない、香川県立石田高校１年生の菊池大君は、今回の体験クルーズにジュニアボランティアとして参加しました。菊池君は、小学５年生のときから中学を卒業するまでの５年間、毎年、この体験クルーズに参加。スタッフからは、「君には体験クルーズの皆勤賞を出さないといけないね」と冷やかされていました。

　「子どもの頃から海で遊ぶのが大好きで、小学４年生のときに地元のＢ＆Ｇ津田海洋クラブに入会してカヌーを始めました。自分の力で海に漕ぎ出す気分は最高です。高校生になったいまでも、夏場はクラブに行って後輩の面倒をみています。また、体験クルーズも実に楽しいものです。船の上で鳥島のアホウドリを観察してから、島の自然や鳥の生態についてとても関心を抱くようになりました」

　体験クルーズから帰ると、菊池君は思い出話をご両親に延々と話すそうで、その楽しげな菊池君の顔を見て、お父さんもリーダーで参加したいと言い出したこともあったそうです。

　「父も母も、体験クルーズには理解を示していましたから、春休みが来るたびに『また今年も行きたい』とお願いすると、『しっかり、自分で判断して決めなさい』と言ってくれました。

　もっとも、体験クルーズにメンバーとして参加できるのは中学３年生までと決まっています。ですから、さすがに体験クルーズ皆勤賞の菊池君も高校に入ってからは参加をあきらめていました。しかし、ある日、Ｂ＆Ｇ財団から家に届いたハガキを見て目の色が変わりました。今年の体験クルーズでは、高校生によるジュニアボランティアを募集すると書かれていたからです。

スタッフの手伝いや、子どもたちの体調管理も大切な仕事です

　「ハガキを見た瞬間、これはぜったい行くべきだと思いました。毎年参加していた体験クルーズにまた行けるという喜びもさることながら、今回はメンバーとしてではなく、ジュニアボランティアでの参加となりますから、これまでとは違った意味でとても興味が湧きました。
　昨年は中学３年生ということで班長を任され、年下のメンバーの世話もしましたが、班長といえども立場はあくまでメンバーの１人です。ジュニアボランティアの立場になれば、いままでとは違った経験を積めると思ったのです」

　小学５年生で初めて体験クルーズに参加した際、船酔いで苦しんだ菊池君を組リーダーが付き切りで励ましてくれました。そのとき、菊池君は子どもながらに感謝の気持ちでいっぱいになったそうです。

　「船酔いは苦しいものでしたが、リーダーの存在はとても心強いものでした。ですから、機会があれば、いつか自分もリーダーのような立場で子どもたちの面倒をみてあげたい、自分にできることで体験クルーズへの恩を返したいと思っていたのです。今回、さすがに両親は『なんだ、また行くのか！』と呆れた顔をしましたが、行くと決めたら快く送り出してくれました（笑）」

　班長の経験はあるものの、ジュニアボランティアの仕事が上手くこなせるかどうか不安もあったという菊池君。実際、船に乗ってみるとたくさんの仕事が待っていました。

みんなと一緒にガッツポーズ！

　「起床の時間から、その日の仕事が始まります。まだ寝ている子がいないかどうか部屋を回って確認し、着替えが済むと名札のチェックです。その後は、プログラムに沿ってメンバーと行動を共にしますから、はっきり言って休む暇はほとんどありませんでした。もちろん、船酔いした子の世話もしなければなりませんから、常にエチケット袋を持ち歩いて子どもたちの顔色をうかがっていました」

　今回の体験クルーズでは、帰路に強風が吹いて船が揺れました。菊池君は、エチケット袋を持ち歩きながら、気分のすぐれない子をみつけると手を差しのべて介抱し続けました。

　「背中をさすってあげたり、声をかけて励ましたりしていたら、昔、自分がリーダーに介抱してもらった記憶が蘇ってきました。船酔いした子の世話は大変でしたが、とてもやり甲斐を感じました」

事情が許せば、学生のうちは毎年体験クルーズに参加してメンバーの世話をしたいと、菊池君。来年も、ぜひ船の上で彼と再会したいものです。（※続きます）