【B&G職員リレートーク】インクルーシブな大会を目指して


皆さんこんにちは! 海洋センター・クラブ課の原田です。

今回は、私たちの課が中心になって準備を進め、今年の夏に東京辰巳国際水泳場で開催した、「2016 B&G全国ジュニア水泳競技大会」について触れたいと思います。

 

 毎年、東京辰巳国際水泳場で開催されている「B&G全国ジュニア水泳競技大会」。水泳選手の憧れの聖地で、今年も大勢のジュニアスイマーが日頃の練習の成果を発揮しました


毎年、東京辰巳国際水泳場で開催されている「B&G全国ジュニア水泳競技大会」。水泳選手の憧れの聖地で、今年も大勢のジュニアスイマーが日頃の練習の成果を発揮しました

 

 

誰もが参加できる水泳大会を

各地の海洋センターで日頃から水泳の練習に励んでいる子供たちを対象に、毎年開催している「B&G全国ジュニア水泳競技大会」。今年は過去最高となる26都道県74チームから651名の選手が参加して大いに盛り上がりましたが、そのなかでも特に今回は例年にはない注目すべき取り組みがありました。

 

それは、スポーツを通じて知的障害を持つ人たちの自立と社会参加を応援している、認定NPO法人スペシャルオリンピックス日本・東京(以下、スペシャルオリンピックス東京)のもとで水泳の活動に励んでいるアスリート(主に知的障害者)3名に参加いただいたことです。

 

 新たな大会の取り組みに賛同していただいたスペシャルオリンピックス東京のアスリートの皆さん。皆、力強い泳ぎを披露してくださいました


新たな大会の取り組みに賛同していただいたスペシャルオリンピックス東京のアスリートの皆さん。皆、力強い泳ぎを披露してくださいました

 

きっかけは、B&G全国ジュニア水泳大会の決勝でいつもボキャブラリーに富んだ実況アナウンスをしてくださっている水泳指導者、木尾克己さんから「スペシャルオリンピックス東京で、障害を持ちながら水泳に励んでいる選手がいる」とお聞きしたことでした。

 

B&G財団はインクルーシブな社会の実現を目指してさまざまな事業に着手しているので、私たち担当課員は、ぜひスペシャルオリンピックス東京のアスリートの皆さんにもB&G全国ジュニア水泳競技大会に参加していただきたいと考えました。

 

 

不安が感動に変わったレース

さっそく、木尾さんからスペシャルオリンピックス東京を紹介していただいた私たちでしたが、先方のスタッフと話を進めるなかで乗り越えなければならない壁があることを知りました。

 

参加していただきたいと思ったアスリートの皆さんは、東京辰巳国際水泳場のような大きな会場で実施する大会に出場したことがなかったので、大会当日に問題なくスタート台に立てることができるかどうか、気持ちの面で大きな不安があったのです。

 

 憧れの聖地でスタートに臨む選手。うれしさと緊張が交錯します


憧れの聖地でスタートに臨む選手。うれしさと緊張が交錯します

 

実際、当日を迎えてアスリートの皆さんにお会いしてみると、誰もがとても緊張しており、硬い表情でプールを眺めている姿が印象的でした。

 

そのため、不安に駆られた私たちでしたが、いざレースが始まって皆さんの泳ぎを見ていると、周りの選手には少し離されてしまうものの、最後まで諦めずに自分の泳ぎを一生懸命に貫き通すので、それまでの不安が感動に変わっていきました。

 

また気付くと、各県の選手や観覧席で見ている保護者の方々などの応援の輪が広がっていたので、会場がひとつになった連帯感が伝わってきて心強い気持ちになりました。

 

 レースが終わると、大会ゲストでオリンピック銀メダリストの中村真衣さんが、スペシャルオリンピックス東京の皆さんをサブプールで直接指導してくださいました


レースが終わると、大会ゲストでオリンピック銀メダリストの中村真衣さんが、スペシャルオリンピックス東京の皆さんをサブプールで直接指導してくださいました

 

 

スタッフだから得られた貴重な経験

レースが終わってスペシャルオリンピックス東京のアスリートの皆さんに感想を聞いてみると、「辰巳のような大きな会場でレースに出たことがなく緊張したが、良い記録が出せて良かった。来年も参加したい」といった意欲的な感想をいただきました。

 

また、アスリートの保護者の方々にも話をうかがうと、「はじめはこのような場に参加して良いのだろうかと不安だったが、レース直後の子供の満足気な様子を見て、参加させて良かったなと感じている。普段は健常者の子供たちと同じレースで泳ぐ機会がないので、良い刺激になった。健常者と同じ条件で泳ぐことができて、とてもうれしい体験になった」と語ってくださいました。

 

そのため、私は心配しながらも諦めることなく準備を進めて良かったなと思いつつ、事前準備から当日の運営まで、直接関わらなければ得られない経験をいろいろさせていただいたことへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 

 私も中村真衣さんのお手伝いをさせていただき、スペシャルオリンピックス東京の皆さんと交流を深めました


私も中村真衣さんのお手伝いをさせていただき、スペシャルオリンピックス東京の皆さんと交流を深めました

 

水泳が好きであることには変わりはない

競技となれば順位やタイムに目が行きがちですが、勝負はさておき、選手の誰もが「水泳が好きなんだ」という同じ気持ちを持っているものです。ですから、競うことも大事である一方、水泳が好きな人たちが一堂に集まって日頃の成果を発揮し合うこと自体にも大きな意味があるのだと思います。そのことを、スペシャルオリンピックス東京のアスリートの皆さんから、あらためて教えていただいた今年の大会でした。

 

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、各競技団体は競技力向上に焦点を当ててスポーツの推進を図っていますが、2020年以降も全国民にスポーツを平等に楽しんでもらえるよう、私たちB&G財団はさまざまな面で継続的にインクルーシブな事業に取り組んでいきたいと考えています。

 

 

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地方創生部 子ども支援課 梅木 文子

1 コメント

  1. 浜田市三隅B&G海洋センター 阿瀬川 より:

    原田さん、障がい者、健常者が一緒にスポーツを楽しむ取り組み、大変すばらしいイベントだと感動しました!B&G三隅では、今年もすこやか教室の小学生と一緒にプールカヌーを楽しみました。このような取り組みが海洋センターに広がる事を期待します。

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