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各種事業/活動記録

平成22年度「B&G指導員研修会」を開催

全体写真

会場を埋めた大勢の参加者。2年続けて定員を上回る参加者にお越しいただく盛況振りです

最新の指導知識・情報を学ぶため、全国から140人のB&G指導員が参加

 平成23年1月19日(水)20日(木)の2日間、東京都港区の日本財団ビル2階会議室において「B&G指導員研修会」を開催しました。
 この研修会は、B&G指導員の有資格者と海洋センター担当者を対象に、財団事業や海洋センター・クラブ運営に必要な幅広い分野の最新の情報・知識を提供するとともに、財団役職員と指導員相互のネットワークを強めることを目的に実施しています。昨年に引き続き定員(130人)を超える140人の指導員が全国から集まり、研修会は活気ある雰囲気のなかで開幕。会場をいっぱいに埋め尽くした参加者は、自身の資質向上を目指し、講義や意見交換など2日間の研修に熱心に取り組みました。

 開催にあたり、主催者であるB&G財団の広渡英治専務理事は「研修会では指導員としての資質を高めていただくとともに、財団に対する率直なご意見もお聞かせください。B&G財団では指導者の皆様に、海洋センター・クラブでの『水辺の安全教室』実施をお願いし、今年度の実施件数は昨年度から大幅に増加いたしました。今後も引き続き、全国の指導者の皆様にご協力いただくとともに、活動の活性化につながる地域指導者会の設置を進められますようお願い申しあげます。皆様の活発な意見で実り多い会議としてください」と挨拶しました。

専務あいさつ

開会あいさつをするB&G財団 広渡英治 専務理事

受付の様子

受付では指導者資格(AD・AQなど)と研修回が表示された名札が配られます。

地域でのより良い指導を目指して
〜3人の講師が自然体験・水泳指導・健康運動をテーマにそれぞれ講義〜

岩谷講師

岩谷講師。現在は日本テレビ系の番組に気象キャスターとして出演されています。

岩谷忠幸氏 「自然体験活動と気象・海象」

 基調講演では、ウォーターセーフティニッポンのサポーターである「NPO法人気象キャスターネットワーク」副代表で事務局長も務める岩谷忠幸氏が「自然体験活動と気象・海象」と題して、ご講演くださいました。岩谷氏は、テレビやラジオの気象解説を多く経験されています。

  講演では、天気予報に出てくる用語の知っているようで知らなかった本当の意味や、台風などの気象状況について詳しく説明いただきました。また、自然体験を指導する指導者に向けて「ただ天気予報を見るだけでなく、天気図から低気圧の状態を把握し発達が予測できる知識を身につけてほしい」と語られ、「天気予報の精度は、季節によって異なりますが年間で平均すると約85%の的中率です。気象は季節や地域によって特性があるので、ご自身の経験と知識を深めて、それに天気予報の情報を合わせるというように、天気予報を上手に活用してください」と続けました。

野口講師

野口講師。参加者からは熱心に質問が飛び交い、身振りを交えて丁寧に答えてくださいました

野口智博氏 「即実践できる水泳指導法〜基礎編〜」

 続いて、日本大学文理学部体育学科准教授の野口智博氏から、「即実践できる水泳指導法〜基礎編〜」と題して講義いただきました。野口氏は数々のオリンピック選手の育成に貢献されるとともに、多くのスポーツ指導者を養成されています。

 講義は“水なれ”“スキル変容”“トレーニング”と3つのテーマに分かれ、大学の授業風景の映像や具体的なプログラムの紹介も交えて進めれられました。
 野口氏は、初心者の水に対する恐怖心克服のためには「プログラムや展開を工夫して、恐怖心の裏にある好奇心をいかに引き出すかが大切」であることを強調。スキルが上達する仕組みに関しては、「例えば運動音痴と呼ばれる人は、イメージと実働の『ズレ』を修正する感覚が乏しい。指導者は選手に『ズレ』た状態が『ズレているのだ』と認識できるようにしてあげることが必要」と、説明しました。豊富な指導経験のエピソードも紹介くださる野口氏の講義に、指導現場を持つ多くの参加者から「今後の指導にとても参考になった」と感想が寄せられました。

北川講師

ざっくばらんなエピソードも交えて講義くださった北川講師。今もなお、ご自身が現役で活躍中のサッカーの試合映像もお見せくださいました。

北川薫氏 「健康・運動・スポーツのあり方を考える」

 1日目の最後は、多くのトップアスリートを輩出していることで有名な中京大学学長の北川薫氏による講義「健康・運動・スポーツのあり方を考える」が行われました。
 北川氏は、ご自身が過去に仕事で携わったタイやアメリカでの事業事例を、映像を交えながらご紹介くださりました。また、医学的な視点や運動生理学的な視点から、健康・運動・スポーツの関連について説明し、健康づくり運動については、「人間には『向上心』があり、昨今の健康観にはその観念が欠如している」ことを指摘。さらに「向上心がキーワードとなり、健康づくりのつもりではじめたジョギングが、いつの間にかフルマラソン出場を目指す”競技(不健康運動)”に発展していく。このことを踏まえ、健康運動といった体力づくりはスポーツを楽しむための基礎づくりと考えるのが良い」と説明しました。日々、地域住民の健康づくりに携わる参加者にとって、非常に興味深い講義内容となったようでした。

モニターを見る参加者

参加者数が多いため、会場の後方でも資料がよく見えるようにとモニターが用意されました。

質問をする参加者

地域での指導に生かそうと、参加者からはたくさんの質問が寄せられました。

参加者の様子

貴重な講義を聞き逃さまいと、参加者は皆真剣な表情

海洋センターからの事例紹介と指導者会・ウォーターセーフティニッポンからの報告

野中氏

掛川での事例から、総合スポーツクラブ事業が順調に継続するためのポイントについて紹介した野中氏

 2日目は3件の「事例紹介・報告」が行われました。
 静岡県掛川市B&G海洋センターの指導者である野中直美氏は、掛川総合スポーツクラブの概要や特徴について事例紹介を行いました。スポーツクラブ事業の円滑な継続に必要なものについて「ひと・もの・かね・ネタといった地域の経営資源を確保して上手に活用すること」と説明し、総合スポーツクラブ設立に関わっているという参加者からの熱心な質問にも、細かな事例を挙げながら丁寧に答えていました。

  B&G全国指導者会副会長の川島正光氏は、B&G全国指導者会の現在の状況と今後について報告しました。なぜ指導者会が必要で、今後何をすべきかについては「1つの種で100の利益を生むには人を育てることと言われていますが、その大切な『人づくり』を担っているのがB&Gであり私たち指導者です。活性化のために指導者のネットワークを強める『地域指導者会』をぜひ設置いただき、未来を担う子どもたちのために、また悲しい水の事故をゼロにするために、全国の指導者で一致団結し取り組んでいきましょう」と、身振りを交えて熱く参加者に語りかけました。

川島氏

「担当者が1人で悩むことがないよう、部署を超え、自治体を超えてB&G指導者の連携を!」会場を埋めた参加者に熱く語りかける、埼玉県久喜市の川島氏

 その川島氏の思いに、会場にいる139人の指導者の目は輝き、それぞれが全国指導者会2年目の飛躍を胸に誓いました。

 続いて、ウォーターセーフティニッポン事務局でB&G財団総合推進チーム部長の細井が、昨年11月に実施した「ニュージーランド視察」の報告を行いました。
 ウォーターセーフティニュージーランドの活動や教室プログラム、ロトルア海洋クラブへの舟艇器材配備式の様子を紹介し、「平成23年度に向けて、今回のニュージーランド視察を参考にしたプログラムなど新たな情報を、映像も含めてウォーターセーフティニッポンのホームページから見ることが出来るようにしたい」と発表しました。

ボートレースの映像を放映

研修会の休憩時間には、ボートレースの紹介映像が放映されました。

WSN発表

ウォーターセーフティニッポンによって行われた「ニュージーランド視察」報告

現役弁護士からリスクマネジメントを学び、日々の安全管理を見つめ直す

早川講師

早川講師。法律のプロの立場から、リスクと安全管理について講義いただきました。

早川修氏 「体験活動における事故事例と法的責任」

 研修会の締めくくりとして、早川総合法律事務所の弁護士早川修氏による講義「体験活動における事故事例と法的責任」が行われました。
  川に学ぶ体験活動協議会の顧問弁護士も務める早川氏は、過去に多くのアウトドア関係の訴訟を手がけています。今回はそれらの事例を示しながら、事故事例から学ぶ事故の予防策および法的責任と注意点について講義いただきました。

  早川氏は、海や湖など各地で発生した事故事例を紹介し「指導者はエリア特有の天候について熟知しておく必要がある」ことを強調。そして「地元での活動において、出航時や中止時の基準を今すぐに言えますか」と会場へ問いかけ、参加者にとって日々の安全管理を今一度見つめ直す機会となりました。また、早川氏は安全管理・危機管理のマニュアルについて「個人で、また組織で『リスクの洗い出し』という作業を行ったうえで作成したマニュアルでなければ意味がない。皆さんの安全対策に役立てるため、ぜひ『リスクの洗い出し』を実践してください」とアドバイスしました。

同期生同士の懇親

情報交換会で旧交を温められていた24期のお三方。同期生との再会もこの研修会の魅力の1つ。

河合さん

7年にわたり毎回参加いただいている河合さん(右)には、情報交換会にて広渡専務より記念品が手渡されました。

参加者に聞いた「B&G指導員研修会」の魅力

愛知県新城市作手B&G海洋センター 河合茂人さん(AD3回)

 河合さんは、今回を含め何と、7年連続でB&G指導員研修会にご参加いただいていて、1日目終了後の情報交換会でそのことが報告されると、会場からは大きな拍手が送られました。
 この紹介に合わせ、河合さんに次ぐ5年連続の出席者として、愛知県清須市春日B&G海洋センターの小出拓哉さん、大阪府千早赤阪村B&G海洋センターの酒見和宏さんの2人も紹介されました。

 河合さんにこの研修会の魅力についてお尋ねすると「来る度に毎年内容が充実していて、現場で生かせることが多いので、地元の人にも学んだことを紹介しています。今回の研修のなかでは特に、『水泳指導』の講義内容を、地元の小学校を通じて実施している教室指導の参考にしたいと思っています。これだけ続けて研修会に参加できているのも、愛知県連協の事業計画で、この研修会への参加を明記して取り組んでいるからだと思います」とお話しいただきました。

岡山県奈義町B&G海洋センター 井戸設雄さん(AD12回)

 今年度のアドバンスト・インストラクター研修を修了し、今回が初めての参加となった井戸さんは、研修会の印象について「全国の指導員の方と情報交換することができて、とてもいい機会だと感じます。研修内容も地元ですぐに生かせるものが多く、特に安全管理については、帰って早速見直して取り組んでいきたいと思いました。今後も積極的にこうした研修会に参加したいと思います」と話していました。

 長く参加を続けても、その都度新しい、指導現場の実践で生きる情報を地元へ持ち帰ることができること、また全国から集まる指導者同士でネットワークを強めていけることが、「B&G指導員研修会」の魅力のようです。

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未来を担う子どもたちのために!
B&G指導員が全国各地で頑張ります!!