今日の子どもたちは、総じて物質的には豊かな環境のもとで個性が尊重されて育てら
れている一方で、社会へのかかわりに関する自覚が薄く、社会における「基本的なマナ
ー」を守るといった意識が低下している傾向が見うけられます。
あたりまえのあいさつや公共の場での基本的なマナーを守ることができないなど、子
どもたちが社会を生きていく上での基本的な心得さえも失いつつある危機的状況をいか
に克服していくか、家庭、学校、地域のあらゆる場所での子どもたちへの取り組みが課
題となっています。
「水辺の活動」は、自然体験の中で、人と人そして人と自然との直接的なふれあいを
通して、日常生活に必要な基本的習慣を身につけさせ、自主性や協調性を養い、社会の
一員として必要とされる「心」を持った人間として子どもたちを育成することを目的と
しています。
《大きな声であいさつをする》
カヌーやヨット等の「水辺の活動」の指導はあいさつで始まりあいさつで終わります。
あいさつをすることで、指導員は子どもたちの健康状態や様子を把握することができ、
あいさつによるコミュニケーションは子どもたちの緊張感を和らげ指導員や他の子ども
たちとの仲間意識の向上へとつながります。
また、大きな声で挨拶をすることは、海上において風に負けないような大きな声で受
け答えをするための訓練でもあります。
《他人を思いやる》
・「水辺の活動」の実施にあたっては「バディシステム」という二人組制をとっています。
このバディシステムを行なうことにより、二人一組となり必ず相手とともに行動し、相
手を気遣い、お互いに尊重し助け合うことで、事故が発生した際の迅速な対応ができる
のです。
・ヨットやカヌー等の舟艇を準備したり、片付けたりすることは一人ではできませんし、
みんなが協力し合って、はじめて楽しく舟艇に乗船することができます。みんなと助け
合って、必死で困難を解決した体験は仲間をより身近に感じさせ、子どもたちは、知ら
ず知らずの内に他人と協力しあう必要性を学びます。
《他人に迷惑をかけない》
・「水辺の活動」では日常の生活圏を離れて活動することが多いため、基本的な健康管
理はもとより、活動時の水温や天候、体感温度に応じた服装が一人でできるように自分
のことは自分で行なう習慣を身につけさせます。
・自分勝手な行動を避け、集合時間を守りけじめのある行動をとらせます。海上では自
分勝手で無責任な行動が大きな事故へつながるため、指導員の言うことは必ず耳を傾け
させ、指示に従うようにさせます。
・安全に舟艇を使用するためには、舟艇器材の確認と艤装の点検は必要不可欠です。こ
の確認を怠ると大きな事故を招いてしまう原因になりかねません。器材の準備だけでは
なく、片付けの際にも、次回の乗艇のため、また次の人たちのためにも器材を大切に扱
い、きれいに片付ける習慣をつけさせましょう。
・海の環境を守り、誰もが気持ちよく「水辺の活動」ができるように、活動時に発生し
たゴミなどは各自で持ち帰るか、所定の場所に捨て、放置させないようにします。
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