特集 熊本地震から1年
「B&Gネットワークによる相互応援」協定の絆

現場で見た熊本地震
B&G財団 総務部総務課 中島博臣

 熊本地震が発生してから3ヶ月が経過しようしている7月8日、私は日本財団災害復興支援センター熊本本部で1ヶ月間の派遣勤務をするため、熊本市へと向かっていた。当時は、開催間近のリオデジャネイロオリンピックなど、新たな話題が取り上げられる一方で、熊本地震がニュース等で報道される機会がかなり減少しており、熊本の現状がどのようなものか明確なイメージを持てないままの着任となった。

 熊本空港からバスで熊本市内の事務所に向かいながら街を眺めてみると、瓦礫などはほとんど見られず、一見すると復興に向けて着実に進んでいると感じるほど、市内の大通りは綺麗になっている。しかし、その後の業務で訪れた多くの地域では、倒壊したままの住居や瓦が剥がれた屋根を保護するためのビニールシートがかけられた住居が多く見られ、復興に向けた道のりはまだ長いことを改めて感じさせられた。

 熊本では主に避難所の支援に携わり、週3回、南阿蘇村から大津町に避難されている方々のサポートをさせていただいた。私が担当した避難所は、企業が所有している施設を避難所として開放したもので、建物に損壊している箇所はあるものの、水道やトイレ等の水回りは使用可能な状態で、衛生面の課題が少ないことが良い部分であった。

 一方で、施設内でも冷房が使えない場所があったことや、ペットと共に避難された方は避難所の外にテントを張って生活していたため、日中は30度を超える室内(テント内)で過ごさざるをえない方もいらっしゃった。日中に避難所にいるのは高齢の方が多い中で、どのように体調管理をしていくのかが避難所の課題となっていた。

 夏休みに入ると、避難している子供たちを対象とした学童保育を避難所で開始することとなった。午前中は教師のサポートによる勉強の時間、午後は遊びやスポーツをする自由な時間が設けられ、私は午後の担当として子供たちと共に過ごした。

 子供たちは午前中の勉強を終えると、待っていましたとばかりに元気良く遊び始めるが、避難所の中で出来る遊びやスポーツは限定的で、物足りないものだったに違いない。

 また、避難が長期化するなかでストレスを抱えていた子供もいたことと思う。遊びやスポーツをしている最中に喧嘩をしたり、突然泣いてしまう子供もいたことから、災害時の心のケアの大切さを痛感した。

 避難している方からは「買い物に行くことはできるが、遠くへ出かける機会がなくなってしまったので、日帰りでも旅行することができればありがたい」といった声も聞かれ、日常を忘れ、息抜きができる旅行やイベントは心のケアとして大切な支援なのだと気づかされた。

 熊本地震から間もなく1年が経過する。熊本地震に関する情報は日々少なくなっており、ともすれば身の回り生活にだけ関心を向けている自分がいる。しかし、被災地が復興に向けて一歩一歩進んでいること、未だに多くの方が仮設住宅で暮らしていることを、震災後1年を機に改めて覚え、自分ができる支援を行っていきたい。

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