水辺を学ぶ カヌー講座

持田雅誠のカヌー講座 11年連続カヌー日本代表 アトランタンオリンピック日本代表

Lesson10 カヌーで遊ぼう!

Chapter30 カヌーを楽しめる場所

 これまで9回にわたって、カヌーの道具やカヌーの動かし方について紹介してきました。最終回となる今回のLessonでは、カヌーを楽しめる色々な水面や、その場所に応じたカヌーの種類を紹介したいと思います。
 これまで紹介してきたカヌーを動かすテクニックは、あくまでも基本です。カヌーに乗る水面やカヌーの種類、競技種目によって、それにも少しずつ違いがあります。
何か一つでも、あなたの気に入るカヌーがあるといいですね!

 カヌーはどんなところで乗るものでしょうか?
 カヌーを貸してくれる所?乗せてくれる大人がいる所?
間違いではないけれど、日本中、世界中でカヌーに乗っている人たちは、もっと色々な場所でカヌーに乗って楽しんでいます。

 あなたはどんな水面でカヌーに乗ってみたいですか?

プール

 場所によってはカヌーを使用させてもらえるプールがあります。
 プールには流れがなく、十分な水深もあり、安全にカヌーの練習をすることができます。
 初めてカヌーに乗るときなどは、プールのような場所がきれいで安全と言えます。

 ただし狭いので、すぐに飽きてしまうかも知れませんね。

池や湖

 流れがない水面といえば、池や湖を思い浮かべるのではないでしょうか?
 テレビのCMでも見かけますが、きれいな湖にはカナディアンカヌーが似合いますよね。
 しかし、波や流れがなくても自然の水面です、十分に気をつけましょう!
 広い湖では、陸から沖に向かって吹く風によって、知らぬ間に沖に流されることがあります。
 また、意外と水温が低いこともあり、岸から離れた場所で沈するとすぐに体が冷えてしまいます。
 もちろん池や湖でも、ライフジャケットは着用しましょう!

 たくさんの川が流れている日本には、カヌーを楽しめる川も数多くあります。
 その中には、初めてでもカヌーに乗れるゆっくりとした川もあれば、上級者だけが下れる増水した激流もあります。
 また、昔から人々の生活の場になってきたこともあり、さまざまな人工物が多く見られるのも特徴です。テトラポットや杭などはカヌーにとって危険な障害物になります。
 「危ないからカヌーで川を下らない」というのでは、せっかくカヌーを練習するかいがありません。
 大事なことは、自分が遊ぶその川の状態をよく知り、自分のカヌーのレベルと比べ、安全にそこで遊べるか、きちんと判断を下すということです。
 オープニング映像で私が下っているような川でも、練習しだいで遊べるようになります。

 周りを海に囲まれている日本は、シーカヤックで遊ぶにはすばらしい国だそうです。
 川ほど流れを気にする必要はありませんが、海では風と波に気をつける必要があります。
 漁船や水上バイクにも気をつけないといけませんね。
 川と違い、海はとにかく広いフィールドです。カヌーの場合、沖まで出たら、帰ってくるときも同じだけ漕いで陸地に戻ってこないといけません。
 気象や自分の現在位置の確認などをよく勉強し、カヌーを漕ぐ技術を身につければ、何十KMもの長い距離を一人で漕いでいくことも可能です。

Chapter31 いろいろなカヌー!

 カヌーは色々な水面で楽しめることが分かりましたね? B&G海洋センターは、日本全国たくさんの場所に建っています。艇庫がある土地によって、海でカヌーをしたり、川や池でカヌーを楽しんだりと、使っている水面が違うんですね。
 さて、Chapter1ではカヤックとカナディアン カヌーについて紹介しました。でも実はそれだけではなくて、楽しむ水面に適したカヌー、スポーツとしてのカヌーをするために、それぞれ特別な形をしたカヌーがあります。ここではその紹介をしてみましょう。

競技やスポーツに使われているカヌー

レーシング カヤック/レーシング カヌー

カヌーのレーシング競技で使われるカヌーです。レーシング競技は湖のように流れのない広い水面を使って、500m・1000mの直線のタイムを競う競技です。スピードが出るように、細くて長い形をしています。オリンピックの正式種目で、国体では少年の部もあります。

スラローム カヤック/スラローム カヌー

カヌーのスラローム競技で使われるカヌーです。スラローム競技は流れのある川にゲート(2本のポールでできた旗門)をいくつかつるし、決められた順番で通りながらゴールに向かう競技です。オリンピックの正式種目で、国体にもカヤックの種目があります。

ワイルドウォーター カヤック/ワイルドウォーター カナディアン

カヌーのワイルドウォーター競技で使われるカヌーです。この競技は、流れのある川を数百メートルから数キロ下ってタイムを競います。

フリースタイル カヤック/フリースタイル カナディアン

川にできる波を利用して、その場でサーフィン、スピン、縦スピン、ジャンプのような技を繰り出し、難易度などを競います。艇は回転性能重視なのでとても短く、2m前後しかありません。4mあるB&Gカヌーと比べると、半分しかないですね!

ポロカヌー

ポロ「カヌー」と呼びますが、実際はカヤックを使います。池やプールにラインとゴールを設置して、5人対5人のチーム同士でする球技になります。カヌーは個人でするものがほとんどなので、5人のチームワークを必要とするカヌーは珍しいですね。

主にレクリエーションを目的に使われているカヌー

シーカヤック

5メートル以上もある長いカヤックで、海など長い距離を真っ直ぐ漕ぐのに適しています。経験を積めば、岸から遠くはなれた沖でも漕げるようにもなります。
また、海や大きな湖などで決められた距離を漕いでゴールまでのタイムを競う「シーカヤック マラソン」は、全国各地で開かれています。初心者から楽しめる大会もあるそうですよ!

ダウンリバー カヤック/カヌー

緩やかな川から滝のような激流まで、楽しむための川下りに使い、色々な種類があります。

競技では使用する艇やルールが細かく決まっていますが、遊びとしてカヌーに乗るなら、どのカヌーを使うのも自由です。とはいえ、目的にあったカヌーを選ぶと、もっと楽しくなりますよ!

「持田雅誠のカヌー講座」終了です。

 今回で「持田雅誠のカヌー講座」は終了です。長い間ご覧いただきありがとうございました。

次回4月からは「ロープワーク講座」、続いて「ヨット講座」が始まります。どうぞご期待ください。