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徳島県牟岐町に伝わる、おおらかで大胆な「奇祭」


~悲恋の末、海に身を投げた姫様を慰める、男根崇拝のセレモニー~

 

まちレポ【四国版】に投稿された7月21日付けの記事を覚えていますか? ・・・「今年も徳島県南の牟岐町で『奇祭』が開催されることが決定されました。どんな『奇祭』なのかは、ポスターを見て、想像して、実際に来てみてください♪」…という呼び掛けで始まり、「姫神祭」と題したポスターと7月31日に開催されるスケジュールだけが紹介されていました。

 

そこで興味津々、ポスターを眺めて思いを巡らせてみたものの、どんな「奇祭」なのかよく分からず、まちレポ記事のとおり実際に足を運んでみたくなりましたが、どうにも都合がつきません。やむなく、祭りの資料や写真を送っていただいて「姫神祭」の内容が判りましたので、紹介いたします。

 

ポスターを見ただけでは、どんな「奇祭」か見当もつきませんでしたが・・・

ポスターを見ただけでは、どんな「奇祭」か見当もつきませんでしたが・・・

 

牟岐大島に伝わる、悲しい恋の物語

 

その昔、土佐の国に美しい姫様がいて、とても仲の良い青年と婚約して幸せな日々を送っていましたが、青年はとても優秀だったため2年の任期で都に仕えることになり、2人は離れ離れに暮らすようになりました。

 

しばらくの辛抱と思った姫様でしたが、やがて青年とは音信不通となり、2年の任期が過ぎても青年が帰ってくることはありませんでした。

 

いてもたってもいられなくなった姫様は、自ら都に行って青年を探そうと決意して便船に乗りましたが、出港後間もなく時化に遭遇。やむなく船は牟岐大島の港に避難しましたが、なかなか時化は収まりませんでした。

 

「奇祭」の神事を執り行う大島神社の神主の方々。風待ちの入り江が背後に控えています

「奇祭」の神事を執り行う大島神社の神主の方々。風待ちの入り江が背後に控えています

 

「女を乗せたせいで、海の神様が怒っているにちがいない」と言い出した船乗りたち。その言葉を受け、船頭は姫様を島に置いたまま出港することを決めてしまいました。

 

姫様を残して出港すると時化は止み、船は無事に大阪の浪波に到着。しかし、島に取り残された姫様は悲しみに打ちひしがれ、青年の名を呼びながら入り江に身を投げてしまいました。

 

すると、どういうことでしょうか、身を投げた場所から男性のシンボルにそっくりな巨大な岩がむっくりと現れたではありませんか。浪速からの帰途でその岩を見た便船の名乗りたちはびっくり仰天し、すぐに姫様の霊を慰めるために男性のシンボル像を作って島の神社に祀りました。

 

姫様が身を投げた場所からむっくり現れたという岩(赤丸)。「珍宝岩」という名で知られています

姫様が身を投げた場所からむっくり現れたという岩(赤丸)。「珍宝岩」という名で知られています

 

現在に続く県南の名物行事

 

やがて、牟岐大島に立ち寄る多くの船乗りが海上安全を祈念して男性のシンボル像を作って神社に奉納するようになり、明治から昭和にかけて活躍した詩人の野口雨情も、「沖の大島 姫神様は 通う船路の守り神」と詠いました。

 

その後、昭和40年代になると奉納の習わしをもとに「姫神祭」が誕生。県南の名物行事として現在に継がれています。

 

この祭りが「奇祭」と言われる所以は、昔の船乗りたちと同じように男性のシンボル像をご神体として神社に奉納するところにあります。ご神体は太さが3メートルもあって迫力満点で、普段、祀られている牟岐町の八幡神社(姫神神社)から地元の男性陣が担いで港まで練り歩き、そこから船に乗せて牟岐大島へ運びます。

 

神社から練り歩いて港に到着したご神体。とにかくでかい!

神社から練り歩いて港に到着したご神体。とにかくでかい!

 

海上では、たくさんの船が集まって盛大に伴走。島に到着すると、姫様が身を投げた後に出現したという男根の岩「珍宝岩」から有志が海に飛び込みます。ちなみに、この岩から海に飛び込んだ男性には良妻が嫁ぐという言い伝えがあるそうです。

 

船に乗せたご神体が牟岐大島をめざします。周囲には伴走船がたくさん集まっています

船に乗せたご神体が牟岐大島をめざします。周囲には伴走船がたくさん集まっています

 

珍宝岩に集まった有志の皆さん。これから海に飛び込みます!

珍宝岩に集まった有志の皆さん。これから海に飛び込みます!

 

また、一連の神事が執り行われた後には、阿波踊りやフラメンコ、納涼花火大会などによる夏祭りが開催され、大勢の人たちでにぎわいます。悲恋の末に身投げした姫様も、このときばかりは祭りの雰囲気を楽しんでいるのではないでしょうか。「姫神祭」が末永く続いていくことを祈念いたします。

 

夏の夜のにぎわいを、姫様もきっと喜んでいるにちがいありません

夏の夜のにぎわいを、姫様もきっと喜んでいるにちがいありません

 

 

 

 

 

 

 

 


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