【B&G職員リレートーク】熊本で感じた、人がつながることの大切さ


こんにちは、広報課の持田です。

10月の1ヵ月間、日本財団災害復興支援センター熊本本部の仕事をお手伝いするために出張し、被災者の支援を行う団体やNPO、そして被災された方々などと言葉を交わす機会を得ました。

 

 1階部分が押しつぶされた南阿蘇村の家屋(2016年10月)。地震発生から数ヵ月が経過していますが、現地では苦しい状況が続いています


1階部分が押しつぶされた南阿蘇村の家屋(2016年10月)。地震発生から数ヵ月が経過していますが、現地では苦しい状況が続いています

 

ひっそりと進んでいた孤立化

私が現地に足を踏み入れた10月は、未だに多くの損壊家屋が残る一方、仮設団地の開設が進み、行政が「避難所」の解消に取り組むなどして、被災者の生活環境が大きく変わる時期でした。

 

そのようなある日、仮設団地の集会所で“お茶会”を開催する団体があったので、各戸に声掛けをして参加者を集める様子を見させていただきました。

 

午前10時半、長屋然とした仮設住宅の周辺は人影もまばらです。各戸が静まり返っていたので、「ほとんどは不在なのだろう」と思いましたが、団体のスタッフが呼び鈴を鳴らすと、玄関に人影が浮かんで高齢の方が出てきました。それは一軒だけでの話ではありません。その隣も、さらにその隣も同じように静まり返った住戸から高齢の方が出てくるので、さすがに驚いてしまいました。

 

10月の時点では、仮設住宅への入居から間もないという事情もあったのでしょうが、多くの方々が隣近所との行き来をあまりせずに暮らしていたのです。思えば、東日本大震災後には仮設住宅での引きこもりや孤立化の問題が取り沙汰されましたが、ここ熊本でも同じような状況のなかで、ひっそりと孤立化が進んでいたのでした。

 

 益城町に設けられた仮設団地の様子(2016年10月)。入居世帯数に対して、人影はまばらです


益城町に設けられた仮設団地の様子(2016年10月)。入居世帯数に対して、人影はまばらです

 

大切な声掛け活動

被災者の生活の場が避難所から仮設住宅やみなし仮設住宅に移るにつれ、“自立を促す支援”を受けて生活再建を進める現役世代も少なくありませんが、これまでの地縁や近所づきあいを失ってしまった高齢者のなかには、“お茶会”の声掛けで垣間見たように、新たなコミュニティへの参加を求められて苦労している方も数多いようです。

 

ある団体スタッフの方が語ってくれました。

「東北震災の後、熊本県へ移住してきた被災者がいました。話をしてみて元気のなさが心配になりましたが大丈夫だろうと思っていたら、その後、その方は自死してしまいました。新しい人の輪に入ることの苦手な人もいますから、そんな人たちのために“お茶会”などのお誘いの活動を続けたい」

また別の団体では、

「自宅を改装したコミュニティカフェの記事を読んで、バスを乗り継いで来てくれた被災者がいました。これからも気楽に集える場を提供していきたい」と語っていました。

 

いずれの団体も、気楽に過ごせる場を提供することで、困ったことや不安なことを自然に話してもらい、必要に応じて行政や医療などの専門家に繋ぐことを目的にした活動を続けています。新たな生活に戸惑う被災者の方々にとっては、とても頼りになる取り組みではないかと思います。

 

 

集いの場が育む元気の輪

少子高齢化や人口減少の問題と同じように、日本に活力減退をもたらす大きな課題として語られる「地域社会の希薄化」。震災という状況は特殊かも知れませんが、静寂に包まれた仮設団地で孤立し引きこもる被災者の姿からは、希望と対極に位置する未来図が浮かんでしまいます。

 

前述の活動団体が必要としていたのはただひとつ、人が集まるための「場所」であり、その他には良い意味で“おせっかい焼き”の支援者たちがいるだけでした。

 

彼らが言うただひとつの必要な「場所」について考えてみた時、全国各地に建設されたB&G海洋センターを地域住民のための「総合施設」として捉えてみると、その存在自体に大きな強みがあると思いあたりました。

 

現に、B&G財団では“地域コミュニティの再生に向けたモデル事業”を北海道 積丹町、熊本県 湯前町と協同で進めており、同事業の活動レポートを見ていただければ分かると思いますが、両町では自治体・教育委員会・社会福祉協議会関係者、サポーター、ボランティアといった様々な「人のつながり」が徐々に広がってきています。

 

ですから、この2つのモデル事業で蓄積されつつあるノウハウ、そして個人的には熊本での貴重な体験を糧に、私たちB&G財団は地域コミュニティの活性化に向けて海洋センターという「場」、そしてNPO、ボランティアといった「支援者」との連携を積極的に広げていきたいと思います。

 

 湯前町B&G海洋センター体育館で、頭と身体の両方を使うゲームを楽しむ高齢者の皆さん。スポーツ施設が地域コミュニティの場としても活用されています


湯前町B&G海洋センター体育館で、頭と身体の両方を使うゲームを楽しむ高齢者の皆さん。スポーツ施設が地域コミュニティの場としても活用されています

 

お茶会への誘いに仮設住宅を回った際、ある戸口で聞いた“後で行こうかしら”との答え。

しばらくして、素敵なファッションと明るいお化粧で集会所を訪れたその女性は、“久しぶりに人前に出たから・・・ちょっと派手かしら?”と照れ笑い。

92歳とおっしゃるその女性の笑顔が、私にとって熊本での一番の思い出になりました。

そんな笑顔を広めていきたいですね。

 

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企画部 広報課 持田 雅誠

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