スペシャル トップに聞く 私たちのまちづくり

No.004:千葉県香取市 宇井 成一 市長 スポーツ振興と観光誘致に自負 活力ある前衛な自治体に!
2017.06.13 UP

プロフィール 宇井 成一(うい せいいち)市長
昭和34(1959)生まれ。千葉県香取市佐原出身。
平成11年から平成15年 佐原市議会議員、平成18年から香取市長初代就任(現在3期目)
町の紹介  香取市は、平成18年3月に千葉県北東部の旧佐原市、旧小見川町、旧山田町、旧栗源町1市3町が合併し誕生した、まだ新しい市だが、総面積は262.35平方キロメートルと県下第4位、人口約8万8千人の規模を誇っている。水郷の風情が漂う利根川の水辺や穏やかな丘陵地など、水と緑に恵まれた自然豊かな景観ほか、利根川舟運の繁栄を偲ばせる街並みや、いまも数多くの史跡や伝統文化の情緒あふれる市でもある。

 昨今、香取市では長寿奨励に根差した「生涯スポーツ推進計画」を積極的に推進しており、利根川の水辺での水上スポーツをはじめ、市民のスポーツへの意識も高いことから、B&Gの海洋センターが「市民スポーツと健康増進の場」として必要不可欠な存在となっている。また同市は、2020年のオリンピック開催に向けた海外チームのキャンプ地として指定されるなど、スポーツを通じた国際交流も盛んだ。スポーツを通じた市の魅力や市民との交流などについて、宇井市長にお話しを伺った。

後編:「香取市まち・人・仕事創生総合戦略」を策定、総合的に対策推進

 健康長寿の奨励に根差した「生涯スポーツ推進計画」を積極的に推進している香取市。利根川の水辺での水上スポーツをはじめ、市民のスポーツへの意識が高いこともあり、B&Gの海洋センターが「市民スポーツと健康増進の場」として必要不可欠な存在となっている。また同市では、2020年のオリンピック開催に向けた海外チームのキャンプ地として指定されるなど、スポーツを通じた国際交流も盛んなため、スポーツを通じた市の魅力や市民との交流に自負をもっている。しかし市が抱える問題や課題もある。宇井市長にスポーツ以外に自治体として意欲的に取り組む課題や産業創生、今後の方向性について、お話しを伺った。

遺産認定で観光誘致にも意欲、エネルギーの地産地消も

- スポーツ振興以外の香取市の特色ある取り組みや話題についてお聞かせください -

 昨年は香取市では非常に喜ばしい認定が2つございました。

 1つは、昨年の2016年4月25日に、香取市ほか、佐倉市、成田市、銚子市の北総4都市の街並み群が、江戸紀行、江戸の情緒を感じさせるという点で、日本遺産に認定をされたことです。

 この認定審議の過程で、佐原の重要伝統的建造物保存地区や佐原の山車行事、そして伊能忠敬関係資料、そして香取神宮など文化財等の重要性が高く評価され認定を受けることができました。

 もう一つは佐原の山車行事を含む、国指定の「重要無形民俗文化財」にあたる「山、鉾、屋台行事」33件が、エチオピアで開催されました政府間委員会において、昨年の2016年12月1日に、「ユネスコの無形文化遺産」に登録されたということです。

 もちろん千葉県内におけるユネスコ無形文化財登録は初めてであり、先人から受け継いできた市の宝である歴史や文化が、国内外で高く評価されたことは、大変嬉しく思っております。

 国内の日本遺産、また全世界的なユネスコへの登録ということで、二つ喜ばしいことがあり、国内外に対し、いよいよ香取市の魅力を大いに配信する機会が来たと、考えております。特に香取市は成田空港も至近であることから、外国のお客様に対して、観光誘致を図っていきたいと考えておりますし、国内の方々にも香取市にお出で頂き、魅力を発見して頂きたいと思っております。

 全国でも私たちが初めて取り組んだ事例になると思いますが、また昨年の7月には、成田市と香取市、そしてエネルギー事業全般を手掛ける洸陽電機(本社:神戸市)の3者で、地域の電力株式会社「成田香取エネルギー」を設立しました。

 地域の電力事業では、発電された再生可能エネルギーを地域内で活用する「エネルギーの地産地消」の取り組みを進めるとともに、2市の公共施設等への電力供給によるコスト削減、そして2市が所有する発電施設の売電収入の増加などで得られる多大な財政的なメリットなどが期待できます。

 香取市では太陽光発電、そして成田市はごみを燃やす処理場の熱エネルギーの再生可能エネルギーの利活用について積極的に取り組んでおります。

 香取市の文化活動としては、6月に開催される「水郷佐原あやめ祭り」ほか、夏と秋に開催される「佐原の大祭」や「水郷おみがわ花火大会」、11月に開催される「栗源ふるさといも祭り」、また12月開催の「小江戸マラソン」等々があります。概ね天候にも恵まれ、県内外から多くの方々に来ていただいていますが、今年も4月29日に「ユネスコ記念式典」が開催され、市内が大いに賑わいました。

 今後は、やはり香取市を継続して訪れていただけるよう、観光面でのメリットを提供していくことが大切だと感じています。例えば、観光を一つの窓口とし、農業へ興味を引き出し、観光を基盤に子供たちの学習等々につなげていくことも可能だと考えています。「香取市の魅力発信」を観光の一大目標とするのです。例えば「伊能忠敬」を一つの観光要素と踏まえた場合、「同氏が(日本で)最初に正確な日本地図を描いた人」と子供たちに伝え、また同氏の資料が残る資料館で「伊能忠敬について勉強する」、ということでもよいでしょう。教科書にも掲載されており、教育上重要な要素を担うと思っております。

 昨年は県内すべての小中学生に入館無料チケットをお送りさせていただき、資料館に来ていただきました。学芸員も配置することで学習カリキュラムとして取り組んでいただいております。

- 香取市の課題と取り組み、今後の方向性 などについてお聞かせください -

 香取市における喫緊の課題としては、「少子高齢化」と「人口減少対策」があります。これについては国家指針をもとに、「香取市まち・人・仕事創生総合戦略」を新たに策定し、総合的に対策を推進しています。

 今年度の中核事業については、まず、佐原駅周辺活性化拠点整備事業があり、次に橘ふれあい公園整備事業が挙げられます。また、学校統合整備事業や、水道施設整備事業、病院誘致事業等々を掲げ、積極的に推進を行っております。

 香取市が佐原市ほか3町と合併して12年が経過し、次なる挑戦へ向けた10年として、香取市のまちづくりを進める中で、現在、少子高齢化、人口減少、生活基盤施設の老朽化等々、様々な問題が山積しております。将来を見据え、財政基盤のさらなる強化充実を図りながら、市民の皆様が望む事業の優先順位を踏まえ、着実に推進する所存でございます。

 今後も市民の方々と思いを一つに、地域の特性を見つめ、魅力ある資源を最大限に生かしながら、明るく、楽しく、そして安全に安心して住めるような、「一人一人の市民が輝く、活気みなぎる やすらぎの郷香取」の実現に向けて共に創造していきたいと思っております。

※完

(文:宮嵜 秀一

小見川B&G海洋センターは、市の中心市街地の北東部・「黒部川」沿いにあり、周辺には小見川スポーツ・コミュニティセンター(市営、体育館)や少年自然の家があり、いずれの施設も川沿いに位置しているため河川を中心として自然環境が豊富で、休日にはフィッシングやカヌーを楽しむ人が多く訪れます。

山田B&G海洋センター水と緑あふれる橘ふれあい公園があり、橘堰の景観を生かした山田区の行楽拠点です。「出会いの広場」と「憩いの森」に分かれていて「出会いの広場」には遊歩道、せせらぎ川、野外キャンプ場などが設置されています。「憩いの森」ではアスレチック施設があり、連日子供たちで賑わっています。

栗源B&G海洋センターは、栗源運動広場の中心にある施設で、地域に根ざしたスポーツが盛んに行われています。体育館、武道場、ミーティングルームがあります。