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No.004:千葉県香取市 宇井 成一 市長 スポーツ振興と観光誘致に自負 活力ある前衛な自治体に!
2017.06.06 UP

プロフィール 宇井 成一(うい せいいち)市長
昭和34(1959)生まれ。千葉県香取市佐原出身。
平成11年から平成15年 佐原市議会議員、平成18年から香取市長初代就任(現在3期目)
町の紹介  香取市は、平成18年3月に千葉県北東部の旧佐原市、旧小見川町、旧山田町、旧栗源町1市3町が合併し誕生した、まだ新しい市だが、総面積は262.35平方キロメートルと県下第4位、人口約8万8千人の規模を誇っている。水郷の風情が漂う利根川の水辺や穏やかな丘陵地など、水と緑に恵まれた自然豊かな景観ほか、利根川舟運の繁栄を偲ばせる街並みや、いまも数多くの史跡や伝統文化の情緒あふれる市でもある。

 昨今、香取市では長寿奨励に根差した「生涯スポーツ推進計画」を積極的に推進しており、利根川の水辺での水上スポーツをはじめ、市民のスポーツへの意識も高いことから、B&Gの海洋センターが「市民スポーツと健康増進の場」として必要不可欠な存在となっている。また同市は、2020年のオリンピック開催に向けた海外チームのキャンプ地として指定されるなど、スポーツを通じた国際交流も盛んだ。スポーツを通じた市の魅力や市民との交流などについて、宇井市長にお話しを伺った。

前編:B&G海洋センターが「市民スポーツと健康増進」の主役舞台に

健康長寿めざし、市一丸でスポーツを振興

- まちづくりに関する「お考え」や「思い」についてお聞かせください -

 香取市が誕生して今年で12年目に入りました。「市民協働による暮らしやすく、人が集うまちづくり」を、合併当時からの市のビジョンとして、全力で取り組んできましたが、これを一つの柱として、市の総合計画が作られています。

 市は、かつて6年前に発生した東日本大震災において、液状化という形で多大な被害を受けましたが、国や自衛隊、そして香取市にゆかりのある方々や、多くの市民の皆さんのお力添えいただき、どうにか困難を乗り越えてくることが出来ました。

 今後は市民の皆様方が「香取市に住んでよかった、また、生まれてよかった」と言われるように、香取市が持つ潜在力を掘り起こして、今後の発展とさらなる飛躍のために力強く歩みを進めてまいります。

- 香取市内のB&G海洋センター(3ヵ所)の活用と今後のまちづくりについてお聞かせください -

 まず、「香取市生涯スポーツ推進計画」というものが総合計画に基づき設けられております。これはスポーツの振興を通じ市の礎を築いていくものですが、市民の体力向上や健康の増進等はもちろん、長寿奨励も含めて、いつまでも元気でいられるというような効用を目指しております。

 これは4市町が合併(統合)したことで、市民の一体感を醸成させていくことを目途に、市全体の統括的かつ体系的、また計画的なスポーツ振興を目指すものです。

 推進計画には、大きく二つの要素が含まれます。一つは、地域において市民一人一人が自主的かつ積極的に活動する際の基本的指針として、その方向性を示すものであること。また二つ目には、市民スポーツの関係団体や健康づくり関係団体、学校、企業、行政等が地域や社会全体でスポーツ振興に取り組むための指針になっています。

 こうした指針は、総合計画と照らし合わせながら、元気と笑顔に満ちた活力ある地域社会の形成や、青少年の健全育成、高齢化社会におけるスポーツ振興の役割に資するものとしております。

 この推進計画に基づく香取市のスポーツ施設の運営を潤滑化させるため、以前に市内スポーツ施設でアンケート調査を行いました。その調査では、公共スポーツ施設の必要性を求める声が非常に大きく、行政が想定していた以上の市民のニーズや要望の高さでした。

 この市町村合併により、香取市ではB&Gの施設を3か所、所有することになりましたが、現在はそれぞれの施設で、市民の利用が拡大してきており、昨年度の栗源B&G海洋センターの改修工事では、B&G財団から多大な助成を頂いたことで、市民のニーズに叶う「安全で快適」な施設の提供が出来ております。

 海洋センター事業についても、「水上スポーツの振興」を掲げており、教育委員会が委嘱する水上スポーツ指導員が指導を行うという点では、おそらく全国的にも珍しいのではないかと思います。具体的には「海洋クラブ」や「スポーツ少年団」が、ボートやカヌーをはじめとした水上スポーツの振興に貢献し、そして市民レガッタの開催に関わるなど、この分野で、水上スポーツ指導員のプレゼンスが高まってきています。

 また、参加者の中からオリンピック強化選手が誕生するなど、ますます海洋センターの存在意義が高まりつつあります。海洋センターは「市民のスポーツ活動および健康増進の場」として、必要不可欠な場としての位置づけをさせていただいており、今後もより多くの方々からご利用いただけるものと思っております。また、障害者の方々のスポーツ活動の場としても、海洋センターをご利用いただいておりまして、今後はより一層活用の幅を広げてまいりたいと考えております。

20年五輪の海外チームのキャンプ地指定で市民と国際交流も

- 東京五輪・パラリンピック、オランダボートチームの受け入れについてはいかがでしょうか -

 いよいよ2020年には、東京オリンピックが開催されます。B&G海洋センターが設置されている香取市の黒部川ボート場が、オリンピックにおける蘭ボートチームの事前キャンプの候補地となっていることから、平成27、28年の両年にわたり蘭オリンピック委員会の関係者による現地視察が行われ、結果、香取市で事前キャンプの実施が決定いたしました。協定書の取り交わし等々、現在、必要な準備を進めているところです。東京オリンピックに参加するオランダチームの受け入れ人数は、前回のリオチームを上回ると伺っており、食事や宿泊施設等々について、現在、県といろいろと話を詰めているところでございます。

 この歴史に残る大会の1チームと、香取市が関りを持つことは大変光栄なことですが、これを機に市民のスポーツ意識、とりわけ水上スポーツの意識を更に高揚させていきたいと考えております。

 また練習だけでなく、選手の方々に香取市を知っていただくという点でも、市民の皆さんからレク活動などさまざまな部門でのボランティアを募ったことで、市民の間でも大変な盛り上がりが出てきていると思います。実際にオリンピック選手と触れ合えるということは、大変有意義かつ、滅多にないことですからね。そういう意味では市民も大変楽しみにしていると思います。

 例えば、(ここから)至近距離のところに県営の少年自然の家がありますが、当施設は、小学生から大学生まで利用できる研修施設となっています。ここでは、水上スポーツほか、屋外、屋内の陸上スポーツ等々の研修も可能ですが、その宿泊施設を休憩場所として貸し出すことも考えています。蘭の選手は体格が大きいため、昼休みの仮眠をとるためだけでも「既存のベットサイズに収まるか」など、強化チームの監督やJOC副会長などの関係者に様々な質問をさせて頂いております。また、練習時の必要物品の調達などにおいても、カタマランの指導艇の数や、練習水面の横を走り指導する自転車も必要かどうか、などの話を伺っているところです。

 問題点や不安も、私のみならず直接毎日のように携わる方々にはあるかもしれませんが、私個人としては当受け入れを大変楽しみしております。またそれ以上に、ぜひオランダチームにもこの地で、有終の美を飾ってほしいと思っております。


※後編に続きます

(文:宮嵜 秀一

小見川B&G海洋センターは、市の中心市街地の北東部・「黒部川」沿いにあり、周辺には小見川スポーツ・コミュニティセンター(市営、体育館)や少年自然の家があり、いずれの施設も川沿いに位置しているため河川を中心として自然環境が豊富で、休日にはフィッシングやカヌーを楽しむ人が多く訪れます。

山田B&G海洋センター水と緑あふれる橘ふれあい公園があり、橘堰の景観を生かした山田区の行楽拠点です。「出会いの広場」と「憩いの森」に分かれていて「出会いの広場」には遊歩道、せせらぎ川、野外キャンプ場などが設置されています。「憩いの森」ではアスレチック施設があり、連日子供たちで賑わっています。

栗源B&G海洋センターは、栗源運動広場の中心にある施設で、地域に根ざしたスポーツが盛んに行われています。体育館、武道場、ミーティングルームがあります。