スペシャル 夢をつなげ!B&Gアスリート

No.003:渡辺 一平選手(世界新記録!東京都選手権 男子200メートル平泳ぎ) めざす結果は、諦めない努力の後についてくる!
2017.01.26 UP

母校、早稲田大学のプールで練習前に取材させていだきました

プロフィール 渡辺 一平(わたなべ いっぺい)
1997年生まれ、大分県津久見市出身。小学2年生で水泳を始め、小学5年生でジュニアオリンピックカップ出場。大分県立佐伯鶴城高校時代に頭角を表し、高校2年で出場した2014南京ユースオリンピック200m平泳ぎ優勝。翌2015年の春季ジュニアオリンピック100m、200m平泳ぎで二冠を達成し大会最優秀選手に選出。同年、早稲田大学スポーツ科学部に入学し、大学2年生時にリオデジャネイロオリンピック200m平泳ぎ日本代表に選出。予選でオリンピック新記録を達成。決勝6位入賞。現在、早稲田大学水泳部で活動中。

第3話:2人でリオに行こう!

大学入学直後の第91回日本選手権水泳競技大会で十分に実力を発揮できなかったものの、憧れの先輩、瀬戸大也、坂井聖人両選手のもとで着々と力をつけていった渡辺選手。1年が過ぎると、前年のリベンジを果たすべき第92回日本選手権水泳競技大会が4月に開催されました。この大会は、4か月後に開催されるリオデジャネイロオリンピックの日本代表選手を決める選考会も兼ねていました。

「私は、大会前の2月から3月にかけて坂井さんと一緒にメキシコで合宿を行い、『2人でぜったいリオに行こう、メダルを取ろう!』と誓い合って、モチベーションを高めていました」

1つ年上の坂井選手は、日頃から新人の渡辺選手を励まし続け、渡辺選手に元気がないときには、『もっと、がんばれ!』と背中を押してくれました。

そんな心強い先輩とともにオリンピック出場を懸けて臨んだ大舞台で、渡辺選手は大いに実力を発揮。200m平泳ぎ予選で自己ベストを出すとともに、決勝では小関也朱篤選手の優勝に次ぐ2位に入ってオリンピック日本代表の座を獲得し、見事に前年のリベンジを果たしました。このとき5位に入った北島康介選手は、「なんてレベルの高いレースなんだ」と言って、次世代選手の泳ぎを高く評価してくれました。

オリンピック新記録を達成!

オリンピック日本代表の座を手にしたことで、メディアの関心を集めるようになった渡辺選手。大会後のインタビューでは、「オリンピック出場はとてもうれしいが、メダルを取るためには、このタイムではだめだからもっと上を目指したい」と強気のコメントを発しました。これもひとえに、坂井選手の励ましを受けて高いモチベーションを持ち続けていたからにほかありません。

「緊張で体がこわばることなどからオリンピックには魔物がいると言われていますが、私は世界水泳など国際的に大きな大会に出ることなくオリンピックに来てしまったので、頂点の大会であることをあまり意識しないで泳ぐことができました」

オリンピックの舞台では、緊張はしたものの平常心で無難に200m平泳ぎの予選を通過した渡辺選手。続く準決勝では、その直前に坂井選手が200mバタフライで見事に銀メダルを獲得したため、「ぜったいに、ここで敗退はできない」と全力を出し切り、結果、自己ベストを2秒も縮めてオリンピック新記録を達成することができました。

取材当日、渡辺選手は「B&G財団の活動応援メッセージ」の収録に協力。その場でメッセージの発信練習をしてくださいました


日々の練習に励みたい!

オリンピック新記録を出したことで、一気に周囲の注目を浴びた渡辺選手。誰もが決勝での泳ぎに期待を寄せませしたが、「平泳ぎは力を出せば速くなるというものではない難しい泳法です」と第2話で渡辺選手が語ったように、最後のレースでは思うように実力を出すことができず、6位入賞となりました。

「準決勝で優勝候補の1人に取り上げられて、金メダルがすぐ目の前にあるような感じになり、決勝では少し消極的なレースになってしまいました。準決勝のように思い切り泳ぐことができませんでした」と振り返る渡辺選手ですが、最初のオリンピックを経験して得るものはたくさんありました。

「メダルを取った人は顔を見れば分かります。他の選手とは放つオーラが違うからです。そのオーラとは人より何倍も努力してきたことの証であり、競技に入る前から『この人はメダルを取るに違いない』と人に言わせてしまうほどのパワーを秘めています」

もし、渡辺選手が決勝で準決勝と同じタイムを出していれば、余裕を持って優勝していました。それゆえ悔しさも募りましたが、だからこそ、「この人はぜったいにメダルを取るだろう」と人に言ってもらえるほど練習を重ねていくことの大切を教えてもらったリオのオリンピックでした。

「いまは、世界記録を出したい、国際大会でメダルを取りたいという思いよりも、小学生の頃から続けている水泳で、ひたむきに練習を重ねて少しずつでもいいから自己ベストを出していきたいと思っています」

「日々の努力の積み重ねが、やがてオリンピックのメダルにつながる」と指摘する渡辺選手。その言葉は、いま各地の海洋センター、クラブで練習に励んでいる子供たちへのメッセージにしたいそうです。

「水泳を続けてきたなかで一番辛かったのは小学生のときでした。大人の指導を受けて泳がされている感じがしたからです。しかし、中学、高校と進みながら自分で自分の目標を理解できるようになるにつれ、どんどん練習がしたくなっていきました。ですから、いま苦しい、辛いと感じている小学生がいたら、この私の経験を伝えたいと思います」

リオデジャネイロオリンピックが終わったいま、次の東京オリンピックに向かって新たなスタートを切った渡辺選手。水泳に励む全国の子供たちに負けないように日々の練習に力を入れて、今度こそ頂点をめざしたいと語っていました。
※完了

市内の東北部に位置し、海を埋めたてた総合記念運動公園の中にあります。多目的グランド・テニスコート・相撲場・児童公園に隣接しています。
渡辺選手が中学生のとき、ここのプールで練習をしました。
なお、佐伯市には、他にB&G海洋センターが5ヵ所(弥生、宇目、鶴見、蒲江、直川)ありますので、そちらもご覧ください。

※次回《夢をつなげ! B&Gアスリート》No.004:奥原希望選手