連載企画

注目の人:全国の海洋センター・クラブで活躍する方や、スポーツ選手など、B&G財団が注目する人にインタビューをしています。

No. 93

日頃の練習の成果を発揮! 特集:第68回 国民体育大会(スポーツ祭東京2013)

2013.10.16 UP

今年の国体で活躍した海洋センター・クラブのアスリートたち

スポーツの秋が到来! 今年の国体も9月から10月にかけて東京都で開催されており、全国各地の海洋センター・クラブで練習に励んでいる青少年の皆さんも、競泳やヨット、カヌーなどの大会で大いに力を発揮しています。
そこで今回の注目の人は、今年の国体に出場している選手の皆さんを大会の現場で取材し、出場までの経緯や競技に参加した感想、これからの抱負などをお聞きしました。競泳:5人(第1~2話)、ヨット:2チーム(第3~4話)、カヌー・スプリント:2人(第5話)の順にご紹介していきます。
●B&G海洋センター・海洋クラブ選手の入賞者を紹介!
●第68回 国民体育大会に出場した海洋センター・クラブの選手(OB・OG含む)リスト

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第3話東京の海で腕を競ったB&Gのセーラーたち(その1)

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若洲海浜公園ヨット訓練所のハーバーを出て、レース海面に向かうセーリングスピリッツ級の選手たち。東京湾の新名所、東京ゲートブリッジが背景に控えています

 今年の国体セーリング競技が行われた東京湾の若洲沖は、2020年の東京オリンピックでも会場になる予定です。7年後に向けて最初の一歩を踏み出した新しい聖地で、国体選手に選ばれたB&G海洋クラブ(現役・出身)セーラーたちが練習の成果を大いに発揮しました。

めざしていた国体に出場できて、とてもうれしい!
少年男子シーホッパー級スモールリグ 和歌山県代表 西尾勇輝 君(B&G和歌浦海洋クラブ/高1)

すべてが始まった体験教室

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表彰台で3位入賞の賞状を手にする西尾君。初めての国体でうれしい結果を出しました

●いつ頃から、どんなきっかけでヨットをはじめましたか。

 小学3年生のとき、母が新聞で海洋クラブのセーリング体験教室の告知を見つけて勧めてくれたのがきっかけです。当時、野球もしたかったのですが、和歌山セーリングセンター(ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点)のある地元ですから、そこで活動する海洋クラブに行って一度はヨットに乗ってみたいと思いました。

●オリンピック選手も練習にやってくる環境の良い施設で、初めてヨットに乗ったときの感想はいかがでしたか。

 体験教室に参加したときは、思うように操船できませんでした。でも沈することもなく、風をつかむと走り出すので、とても爽快な気持ちになりました。ですから、そのままクラブに入れてもらって練習するようになりました。

●練習に励みながら大会にも出たと思います。成績はいかがでしたか。

 小学6年生の頃から中学に入る頃までの間は成績が思うように上がりませんでした。B&GのOP大会でも、いまひとつの成績でしたが、初心者でも安心してレースが楽しめるCクラスが設けられていることや、オリンピックの監督さんが直接指導してくださるドリームキャンプ賞があることが、他の大会と違ってすごいなと思いました。残念ながら叶いませんでしたが、自分もドリームキャンプに行きたかったです。

●成績が上がらない悩みは、どのように克服したのですか。

 身体が大きくなったこともあり、それまで乗っていたOP級をやめてレーザー4.7級(適合体重を35~55キロに定めた、ジュニア・ユース向けのレーザー級)にクラス替えをしたところ、自分に合っていたようで走るのが面白くなっていきました。微風などの難しいコンディションで上手にスピードを出すことができると、大きな達成感を得られます。

明日のために、がんばろう!

●レーザー4.7級は国体種目ではありません。国体種目のシーホッパー級スモールリグには、いつ頃から乗り始めたのですか。

 国体には出たいと思っていたので、かなり前からレーザー4.7級とともに練習を重ねていました。今回、その思いが叶って初めて国体に出ることができたので、とてもうれしいです。自分で自分に期待をかけて、レースに臨みたいと思っています。

●国体の後には、どのような目標がありますか。

 シーホッパー級スモールリグはインターハイ種目ではありませんので、ひとまず海洋クラブのなかで練習に励んで、ユースの大会などをめざします。とにかくヨットが好きなので、大学に行ってからも続けたいと思います。

●2020年のオリンピックが東京に決まったときは、どのような気持ちになりましたか。

 もちろん、うれしかったです。自分もオリンピック種目のレーザー級(これまではレーザー4.7級)に乗っているのですから、できれば出場したいです。

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同じB&G和歌浦海洋クラブで練習に励む、国体少年男子セーリングスピリッツ級 和歌山県代表の近藤碧海君(右)と、同海洋クラブ代表で国体の和歌山県成年チーム監督を務めた中村和哉さん(左)

●ぜひ、その可能性に向けて走り続けてほしいと思います。最後に、海洋クラブでOP級ヨットに乗っている子供たちに、励ましの言葉をいただきたいと思います。

 自分はOP級ヨットで十分な成績を収めることができませんでしたが、レーザー4.7級に種目を変えてから速く走ることができるようになりました。ですから、いま成果が出ていない子でも、明日のためにあきらめないで練習を続けてほしいと思います。身体が大きくなって他のヨットにクラス替えしたときに、それまでに培った力が発揮できると思います。

 ― いろいろなお話、ありがとうございました。

※インタビュー後日に行われた競技の結果、西尾君は3位入賞に輝きました。

日頃の積み重ねを大切にしたい!
少年男子セーリングスピリッツ級 和歌山県代表 近藤碧海 君(B&G和歌浦海洋クラブ/高2)

入賞で高まった意識

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過去2回、少年男子シーホッパー級スモールリグで国体に出場した近藤碧海君。今回は、スキッパーの高山大智君とともに少年男子セーリングスピリッツ級で参加しました

●いつ頃から、どんなきっかけでヨットをはじめましたか。

 小学4年生になったとき、高校時代にヨット部だった父に勧められて、海洋クラブの体験会に参加し、楽しかったのでそのままクラブに入りました。最初は風をつかん走ることに苦労しましたが、ときどき父からも教わってセーリングを学んでいきました。

●練習に励みながら、どのような経緯でヨットが好きになっていきましたか。

 小学6年生になって初めて地元の大会に出た際、入賞することができてヨットレースへの関心が高まり、その結果、大会に出て力を試したいと思って、練習が楽しくなっていきました。
 こうして競技をめざすようになり、中学時代を通じてB&GのOP大会にも何度か出場しました。残念ながら、あまり成績はふるいませんでしたが、大きな大会ですからよく覚えています。

●いろいろな大会に出るなかで、初めて国体に出たのはいつのことでしたか。

 中学3年生のときに初めて出場し、今年で3回目になります。県同士で競う大きな大会なので独特の雰囲気があり、最初は応援のすごさにも驚きました。いまでも競技の前には緊張しますが、遣り甲斐も感じます。

成果が出るまでは、あきらめない!

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小学4年生のときからヨットに乗り続けている近藤君。もし出られるのであれば、来る東京オリンピックには470級か49er級で挑みたいと語っていました

●中学3年生のときに初めて出た国体では、どの種目の選手だったのですか。

 中3、高1とシーホッパー級スモールリグで出場し、今回はセーリングスピリッツ級の選手として、スキッパーの高山大智選手とともに参加しました。OP級もシーホッパー級も1人乗りですが、セーリングスピリッツ級は2人乗りなので、練習を始めた際は新鮮に感じました。操船しながら、お互いに声を掛け合えるし、このヨットはスピードが出るので乗っていて楽しいです。

●国体の先にはどんな目標があるのですか。

 通っている高校にヨット部がなくてインターハイには出られないので、いまは国体に集中するのみです。国体が終わったら海洋クラブで練習を重ねて、また大きな目標を探していくつもりです。

●東京オリンピックが2020年に開催されることになりました。大きな目標にしたいと思いますか。

 もし、出られるのであれば、470級か49er級で出場したい気持ちがありますが、それは今後の活動の展開次第だと思います。ただ、東京オリンピックが決まってからは、少しは意識して練習するようになりました。少なくともヨットは好きなので、大学に行ってからも競技活動は続けていきたいと考えています。

●ぜひ、これからも充実したヨット活動を送ってほしいと思います。最後に、海洋クラブでOP級ヨットに乗っている子供たちに、励ましの言葉をいただきたいと思います。

 練習の成果が大会に出て表れると、どんどんヨットが面白くなっていくものです。ですから、その喜びを得るためにも、あきらめないで日々の練習に励んでほしいと思います。

 ― いろいろなお話、ありがとうございました。

近藤碧海君とペアを組んだ高山大智君は、スケジュールの関係でインタビューが取れませんでしたが、後日、メールでQ&Aに応じてくれました。

これからも国体を大きな目標にしていきたい!
少年男子セーリングスピリッツ級 和歌山県代表 高山大智 君(B&G和歌浦海洋クラブ/高1)

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2011年にはOP級ワールドにも出場した高山大智君。これからも国体優勝をめざして練習に励みたいと語りました

●いつ頃から、どんなきっかけでヨットをはじめましたか。

 兄(高山達也選手)がすでにヨットをしていたので、その影響を受けて小学校2年生の時から始めました。

●ヨットが好きになった理由は?

 自分で操縦できるから。ヨットは子供が操縦できる数少ない乗り物です。

●小学生の頃の大会に出た思い出は。

 どの大会でも、レース後のレセプションでたくさんのヨット仲間と交流するのが楽しかったです。

●これまでのなかで一番、心に残っている(練習、大会)は?

 初めて出場した国際大会、2011年のOP級ワールドが一番、印象深い大会です。

●今回の国体に出場した感想を聞かせてください。

 3位以内を目標に参加したので、9位の結果は悔しいです。

●今後の目標、夢。それに向かってどんな努力をしていきたいと思いますか。

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マーク回航で他県と激しく競り合う、和歌山県代表の高山/近藤ペア

 今年の悔しさをバネに、これからも国体優勝を大きな目標に据えて、毎日練習に励みたいと思います。
 また、2020年に東京オリンピックが開催されることになりましたから、できれば自分も出場したいと思います。

●最後に、全国の海洋クラブでヨットに乗っている子供たちへ、励ましの言葉をいただきたいと思います。

 とにかく、少しでも上をめざしてがんばりましょう! 自分も日々の練習で一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。

 ― いろいろなお話、ありがとうございました。(※国体少年女子チームに続きます)