連載企画

注目の人:全国の海洋センター・クラブで活躍する方や、スポーツ選手など、B&G財団が注目する人にインタビューをしています。

No. 87

クルーズで育んだ友情は一生忘れない!

NO.87 クルーズで育んだ友情は一生忘れない!
NO.87 クルーズで育んだ友情は一生忘れない!

上:鈴木美香さん/下:谷中理矩さん

2013.04.17 UP

平成24年度 B&G「体験クルーズ」小笠原に参加した、2人のボランティアリーダーを紹介

37年にわたって続けられてきたB&G財団の体験クルーズ事業。この11年間は全国の小中学生を対象に、東京~小笠原間の航海を実施してきましたが、チャーター客船ふじ丸の売船に伴い、平成24年度をもって休止することになりました。
この、ふじ丸ラストクルーズで子どもたちの世話をしたいと名乗りを挙げた12人のボランティアリーダーのなかに、鈴木美香さんと谷中理矩さんの姿がありました。2人とも過去にメンバーやジュニアボランティアリーダーで乗船しており、自他共に認める"体験クルーズ"の大ファン。「だからこそ、最後の記念にボランティアリーダーとして参加したかった」と語る2人の熱い胸の内に迫ってみました。

プロフィール
●鈴木美香(すずき みか)さん

平成2年生まれ、群馬県出身。小学生の頃から、地元みなかみ町新治B&G海洋センターでカヌーやキャンプを楽しみ、中学2年生のときに母親の勧めでB&G「体験クルーズ」小笠原に参加。高校1、2年時にはジュニアボランティアリーダーを務め、社会人になって1年が過ぎた今回はボランティアリーダーとして乗船した。現在、大学病院に看護師として勤務。

●谷中理矩(やなか りく)さん

平成5年生まれ、茨城県出身。小学4年生のときから、地元B&G茨城八千代海洋クラブで活動。小学6年生、中学2、3年生のときにB&G「体験クルーズ」小笠原に参加し、高校1年生になってジュニアボランティアリーダーを務めた。今回は、ボランティアリーダーとして乗船できる最後のチャンスとして手を挙げた。現在、千葉大学教育学部生涯教育課程に在学中。

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第3話いまも続く班長さんとの交流 (谷中理矩さん その1)

人みしりを乗り越えた海洋体験セミナー

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今回、ボランティアリーダーとして乗船した谷中さん。メンバーとして乗ったときのことを思い出しながら子どもたちと一緒に船旅を楽しみました

 茨城県八千代町で生まれ育った、7組ボランティアリーダーの谷中理矩さん。地元の八千代町B&G海洋センターには小学生の頃から通い始め、プールで水泳を習う傍ら、海洋クラブにも入ってカヌーやキャンプの活動などを楽しみました。

 「父は町役場の職員で生涯学習課にいたこともあり、海洋クラブの指導も行っていました。そのため、私も父の影響を受けてクラブでいろいろな活動をするようになりました」

 海洋クラブを通じて野外活動が好きになっていった谷中さん。小学5年生のときには、沖縄の海洋体験セミナーに参加して、貴重な体験を積みました。

 「何日も親から離れて生活するのは初めてだったので不安もあり、最初の頃は人みしりもしました。でも、まったく知らない者同士がゼロから関係を築きながら仲良しになっていくセミナーの生活は、とても楽しい日々でした」

 不安に駆られながら、周囲を見て誰もが自分と同じように1人で沖縄に来ていたことに気がついた谷中さん。皆、自分と一緒なのだと思うなかで、知らないうちに新しい仲間と打ち解けあっていきました。

 こうした体験を経て、その翌年、小学6年生のときには体験クルーズ小笠原に参加。5泊6日の船旅を通じて、中学3年生の班長さんをはじめ、異なる年齢、異なる地域の仲間と友だちになることができました。

フェイスブックで広がる仲間の再発見

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今年度のクルーズで7組リーダーを務めた皆さん。谷中さん(左端)に、また新しいクルーズ仲間ができました

 すでに海洋体験セミナーで知らない子同士の生活を体験していたものの、谷中さんは、最初のクルーズに参加したときの自分はとても幼くて頼りない子だったと振り返ります。

 「そんな幼い自分でも楽しく過ごすことができたのは、班のなかに年上の中学生が4~5人いて、いつも目をかけてくれていたおかげです。後になって振り返ると、いろいろな面でとても助けてもらっていました。

 また、こうした生活を共に送るなかで、このときの班長さんとはとても仲良しになり、8年経ったいまでも連絡を取り合っています。今回のクルーズでも、帰港したときにふじ丸で会う約束をしています」

 クルーズで出会って、いまでも交流を続けている仲間は、二桁はいると語る谷中さん。最近は、これまで連絡がなかった同じ班や組のメンバーともフェイスブックを通じて再会することも多くなり、クルーズ仲間の輪がさらに拡大しているそうです。

リーダーとしても乗船したい

 年上の仲間に助けられながら最初のクルーズで楽しい思い出をつくった谷中さん。中学生になると2、3年生のときに続けて参加し、今度は年下の子の面倒をみる役にまわりました。

 「合わせて3回メンバーで乗船しましたが、どの航海でも辛いことはありませんでした。いつも人に恵まれていたのだと思います。ですから、中2のときにジュニアボランティアリーダーの制度ができたこと知って、自分も高校生になったらやってみたいと思いました」

 その言葉通り、谷中さんは高校1年生のときにジュニアボランティアリーダーに名乗りをあげ、年上のリーダーを補助する仕事に励みました。

 「中学生が行う班長や副班長とは異なり、ジュニアボランティアリーダーになったら本当の意味で子どもたちの生活を支えなければなりませんから、メンバーで乗ったときとはまた違った充実感を得ることができました」

 メンバーの知らないところで次の行動の準備に努め、陰でプログラムの進行を支えた谷中さん。子どもたちの笑顔を見るたびにやりがいを感じ、20歳になったらボランティアリーダーをしようと心に決めたのでした。(※続きます)

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船内で行われた玉入れ合戦で、7組が入れた玉の数を数える谷中さんたちリーダーの皆さん。メンバーに楽しい思い出を作ってもらおうと、舞台裏の仕事にも精を出しました

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2009年、高校1年生のときにジュニアボランティアリーダーとして乗船した谷中さん(左端)と同組リーダーの皆さん。メンバーとは異なるリーダーとしての風格が出ています