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部署や職域を越えて、指導者仲間の輪を広げよう 平成21年度「指導者会褒賞」を受けた5団体のインタビュー


注目の人
岡山市建部B&G海洋センター指導者会
会長:大谷浩二さん


岡山市建部B&G海洋センター指導者会
活動年数:17年、会の登録:平成18年7月19日、登録人数:68人、年間活動日数:45日、活動人数101人。
褒賞理由:17年にわたり海洋性レクリエーションの普及に努め、青少年の健全育成に貢献。町内赴任の教師全てにマリンスポーツ体験を提供するほか、ボランティア指導員の養成を継続的に実施するなど、人材育成に尽力。指導者を対象にした小型船舶免許講習の補助金事業にも力を入れてきた 。
大谷浩二さん:旧建部町職員として昭和63年に、アドバンストインストラクター資格を取得(20期)。岡山市と合併した平成19年以降は、岡山市北区役所に勤務


 今年1月16日(土)、東京都港区の笹川記念会館で「B&G全国指導者会・設立総会」が開催され、全国で“自然体験活動”と“水の安全教育”を推進する新たな組織が誕生しました。同総会では、役員の選任や設立宣言の採択などが行われたほか、優れた活動を続けている5つの指導者会が全国から選ばれ、平成21年度「指導者会褒賞」が授与されました。
 「注目の人」では、受賞した指導者会の皆さんに、日々の活動や今後の展望などについてお聞きしましたので、5週にわたって紹介していきます。

第4話:知恵を出し合いながら交流事業を進めたい

学校の先生すべてが体験

大谷さんは、昭和63年に海洋センター勤務の辞令を受けたそうですが、当時の活動の様子をお聞かせください。

 指導者会が正式に組織化したのは平成4年ですが、昭和56年に海洋センターが開設されたときからボランティア指導員の集まり自体はできていました。そこから数えると30年近い歴史があります。

 開設当時の海洋センターは、センター育成士(現:アドバンストインストラクター)の資格を取った2人の町職員と、スポーツ少年団に声を掛けて2級育成士(現:リーダー)の資格を取ってもらった10人のボランティア指導員によって運営されました。

 また、その後は毎年のように町職員がセンター育成士の養成研修に派遣され、2級育成士のボランティアの数も年を追うごとに増えていきました。

写真:指導者会研修の様子
指導者会は68人の大所帯ですが、毎年、指導員研修会を実施して個々のレベルアップを図っています

どのような理由で、はじめから大勢の指導員体制を組んだのですか。

 建部町には川こそありましたが、山あいの町なのでマリンスポーツに馴染みがありませんでした。そのため、より多くの指導員を確保して安全面に力を入れておきたかったのです。ただ、最初に集まった10人のボランティアはスポーツ少年団の指導も兼ねていたので、海洋センターの手伝いには限りがありました。

 そのため、指導員同士で相談して中学校の体育の先生にも2級育成士の資格を取ってもらい、休日などに手伝ってもらうようにしました。また、ほかの先生方にもマリンスポーツを体験してもらって海洋センターの活動に理解を深めてもらいました。合併後はしていませんが、旧町時代は町の学校に赴任した教師すべてがマリンスポーツを体験していました。

人材育成に力を惜しまない

学校の先生が体験することで、子どもたちもマリンスポーツに関心を寄せていったのではないでしょうか。

 おかげさまで各教室は常に満員の状態となり、ボランティア指導者も忙しい日々を送るようになっていきました。また、指導者が一丸となって海洋クラブの活動にも力を入れていきました。

 中学校の部活は卒業と同時に終わってしまいますが、地元に根づいたクラブなら中学校を卒業した後でも気軽に顔を出して活動に触れることができます。ですから、海洋クラブを軌道に乗せることでマリンスポーツが町に根づくと考えたのです。

 ただ、そのために確保しなければならないこともありました。カヌーの指導にあたっては、救助艇を操縦する小型船舶免許が必要だったのです。そこで、免許の取得が求められる1級育成士(現:インストラクター)の数を増やそうと町と交渉を重ね、資格を取得するための補助金制度を設けてもらいました。

 町にしてみれば、これは想定外の出費ですから、最初からスムーズに交渉できたわけではありませんでした。しかし、「子どもたちの健全育成なくして町の発展はあり得ない。このような出費を惜しんではいけない」と、最後には町長が英断してくれました。

強力なバックアップを得て、海洋クラブはどのような展開をしていきましたか。

 多い年には200人もの会員(子ども+ボランティア指導員)で賑わい、少子化の傾向が続く現在でも100人ほどの会員が活動しています。旧建部町は、平成17年の「おかやま国体」カヌー競技の会場を誘致しましたが、これもひとえに海洋クラブの長年の活動によって、しっかりとカヌーの受け皿ができていたからにほかありません。

 また、このときは海洋クラブ出身の依田聡子選手、そして彼女の夫で現在、海洋センターに勤務している依田伸一郎選手が、夫婦そろってカヌー競技で優勝することができて、地元は大いに盛り上がりました。まさに、若い人の育成に力を惜しまなかった結果だと思います。

全国指導者会を活用していきたい

写真:カヌーで川下りをする子どもたち
艇庫を出て近隣の川辺を散策する「カヌー川下り」は、いつも大人気。昨年は16人の指導員が対応しながら60人の参加者で賑わいました

写真:海洋まつり水上スポーツ大会の様子
夏に実施する恒例イベント、「海洋まつり、水上スポーツ大会」。昨年も108人の参加者を集めて盛大に実施されました

充実した活動を続けてきたことが伺えますが、これから先はどのような展開をめざしたいですか。

 長い歴史がある反面、指導者の高齢化という問題が浮上してきました。若い頃にボランティアで張り切っていた人たちも、いまでは思うように現場で体を張ることができない年齢になってきています。ですから、これからは若手指導者の育成を真剣に考えなければなりません。

 また、合併してからは海洋センターの守備範囲が一気に岡山市全体に拡大しました。いきなり全区域を対象にした事業展開も難しいので、現在は隣町程度に幅を広げて各教室の募集をしています。いずれは市全域に活動の輪を広げたいと思いますが、そのことを考えても若手指導員の充実が求められます。

 一方、ここ数年は同じ岡山県の瀬戸内市B&G海洋クラブと交流事業を続けており、昨年も春に瀬戸内市の子どもたちが建部に来てカヌーの川下りを楽しみました。また、冬には私たちの海洋クラブが瀬戸内市に行き、手作りした竿で海釣り体験を楽しみました。

 このような交流事業は、普段とは異なる活動を楽しむことができるうえ、仲間の輪も広がります。ですから、指導者同士でいろいろ知恵を出し合って、さまざまな交流を考えていきたいと思います。

 また、そのような意味では、全国の指導者仲間と情報交換できる全国指導者会ができたことを、たいへんうれしく思います。指導者同士の交流の輪が広がれば広がるほど、さまざまな事業のアイデアが生まれるのではないかと期待しています。

今後の活躍に期待しています。インタビューありがとうございました。
次週は「八百津町B&G海洋センター指導者会」をご紹介します。