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国体の浜を、みんなの広場にしていきたい!〜国体跡地の有効活用に力を入れているB&G YASU海洋クラブ〜


B&G YASU海洋クラブ代表 丸岡克典さん注目の人
丸岡 克典さん


B&G YASU海洋クラブ:高知県香南市から旧国体施設の指定管理委託を受けているNPO法人YASU海の駅クラブを拠点に、平成18年に誕生。現在10名のメンバーがOPヨットやカヌーの練習に励んでおり、四国ブロック内の交流を深めるキャンプ活動も盛ん。

B&G YASU海洋クラブ代表 丸岡 克典さん:昭和28年(1953年)高知市生まれ。3歳で香南市夜須町に転居。高知工業高校卒業後、自動車修理会社勤務を経てマルオカモータース入社。夜須町青年団団長(20歳)、夜須町商工会青年部長(34歳)、夜須小学校PTA会長、NPO法人YASU海の駅クラブ理事長などを務める。


 「よさこい高知国体」(平成14年)のセーリング競技は高知県香南市夜須町で開催されましたが、このとき整備されたスロープ(斜路)の一部は仮設で、国体終了後には撤去されました。
 丸岡克典さん(現:B&G YASU海洋クラブ代表)をはじめとする地元の有志が、「大きな施設をつくっても維持管理がたいへん。後々、地域の人たちが手軽に利用できる程度の施設にとどめよう」と声を揃えたからでした。
 国体終了後、丸岡さんたちはNPO法人をつくって、残されたスロープ施設の積極的な運営を展開。いつしか県内屈指のマリンスポーツ拠点として知られる存在になっていき、平成18年には「活動の主旨が完全に一致する」ということで、施設内にB&G YASU海洋クラブが結成されました。今回は、生まれて間もない同海洋クラブの横顔を連載でご紹介していきます。

第2話:生まれ変わった国体施設

鍵を握った若手の活躍

艇庫事務所で丸岡さんと談笑する井土晴喜さん
艇庫事務所で丸岡さんと談笑する井土晴喜さん(右)。高知大学卒業後、NPO法人 YASU海の駅クラブの職員となり、現在はB&G YASU海洋クラブの運営も担っています

 維持管理の手間を考え、必要最小限の施設によって実施された「よさこい高知国体」セーリング競技(平成14年)。施設を簡素化しても大会が成功しなければ意味がないので、丸岡さんたち運営関係者はいろいろ知恵を絞りました。

 「小さくても効率のよい施設を作る必要があったので、大学ヨット部の新卒者を旧夜須町(現在は香南市夜須町)の職員に採用し、彼の競技経験を基にスロープや艇庫の使い勝手を徹底的に研究しました。そのため、小さな施設でもスムーズな国体運営ができました」

 現在、施設を管理しているNPO法人 YASU海の駅クラブ(以下、海の駅クラブ)の職員で、B&G YASU海洋クラブの指導者でもある井土晴喜さんも、国体開催時には高知大学ヨット部の学生として大会運営を手伝いました。

 「仮設スロープを使った低予算の国体ではありましたが、皆で力を合わせながら大会を無事終えることができました。

 夜須町の浜は太平洋に面しているので、レースのときは強風や大きな波への対処の仕方が問われます。地元の選手はそれを熟知していたので、成人女子シングル、ダブルで優勝を手にすることができました」

 この女子選手は名倉海子さんといい、現在は井土さんと共にB&G YASU海洋クラブの指導者として子どもたちの活動を支えています。

ちょっと一歩前に進んでみよう!

地元の海に生息するサンゴの写 地元の海に生息するサンゴの写真が、艇庫事務所に飾られています。美しい海を散策しながらサンゴを見学するカヌーのツアーに人気が集まっています

 国体が終わると仮設スロープは撤去され、固定スロープ1本と艇庫だけが残されました。これらの施設は最初の1年間だけ旧夜須町が管理し、その後は丸岡さんが理事長を務める海の駅クラブが指定管理委託を受けました。

 「ここは、子どもから若者、リタイアした中高年など、幅広い層の人にいろいろなマリンスポーツを楽しんでもらう拠点にしていきたいと考えました。

 多くの人が海水浴を楽しみますが、そこからもうちょっと一歩先に踏み込んでカヌーやヨットなどに親しんでもらいたいのです」

 指定管理委託の予算には限りがありますが、ここは維持費がさほど掛からない簡素な施設です。そのため、一般利用で年間3万円(市内在住者はその半額)という極めて低額の艇保管料を実現することができ、地元の中学校にもヨット部ができました。

地元に根づいたマリンスポーツ

プログラムを体験した子どもたちの絵
国体終了後には大勢の子どもたちがスロープを使ってカヌーやヨットを楽しむようになりました。体験プログラムの思い出を絵に描いて送ってくる子も少なくありません

 「スロープのおかげで誰もが手軽に海に繰り出せるようになりましたから、行政の補助金でカヌー40艇を揃え、海を漕いで散策する体験イベントを展開していきました。指定管理委託を受けた初年度だけでも年間20回ほどは実施していました」

 カヌーのイベントメニューで注目されたのが、かつてのマリーナ建設予定地に群生するサンゴを、カヌーに乗って海上から観察するツアーでした。丸岡さんや井土さんは地元タウン誌や市の広報誌に記事を投稿してツアーを積極的にアピール。その結果、カヌーが地元に根づき、海を散策する体験イベントを恒例行事化した小学校も出てきました。

 「海の駅クラブには、学校の先生や病院の先生、会社員など約60名の会員が在籍しており、カヌーが忙しいときは彼らがボランティアでお手伝いしてくれます。

 最近では不登校児を対象にしたイベントを開くほか、B&G財団さんからご提供いただいたアクセスディンギーを使って、障害者向けのヨット教室を開催しています」

 国体用の施設は、こうして地域に根ざしたマリンスポーツの拠点に生まれ変わっていきました。そして、海の駅クラブが施設を管理するようになって3年目を迎えた平成19年、同クラブの活動に関心を寄せていた四国のB&G海洋クラブ関係者の勧めもあって、ここにB&G YASU海洋クラブが産声を上げました。(※続きます)