注目の人 平成20年度小笠原特集


平成19年度体験クルーズの様子
 31年目を迎えた今年のB&G体験クルーズ。492名のメンバーたちが全国から集まって、元気良く小笠原に行ってきました。その楽しい旅を支えてくれたのは各組のリーダーにほかありません。
 今回の注目の人では、組リーダー4名、ボランティアリーダー4名、ジュニアボランティアリーダー3名の皆さんのインタビューを、5回に分けてご紹介していきます。

※インタビューは帰港前日(第5日目)に行っています。
※各人の肩書き等は3月末日現在のものです。



第5話:子どもたちの成長の早さに驚きました 幸野弘靖さん 3組 ボランティアリーダー/大分県玖珠町教育委員会

幸野弘靖さん ■ 現在、どのような仕事をされていますか。

 5年前に1年間ほど地元の海洋センターに勤めましたが、その後は国体推進係を任ぜられ、無事、昨年10月に“チャレンジ! おおいた国体”を開催することができました。今年の3月末までは残務整理をしており、報告書づくりや大会を記録したDVDの編集作業などをしています。

■ クルーズに参加した動機はなんですか?

 国体の仕事を通じていろいろな人と知り会うことができ、人と交流することのすばらしさを学びました。クルーズも人の交流が柱ですから、仕事が一段落したいまが良い機会だと思って参加しました。

■ クルーズのこれまでを振り返って、たいへんだったことはなんですか?

 組には40人ほどの子どもがいますから、班長を中心にまとめていきましたが、なかなか一人一人には目が行き届きませんでした。メンバー同士の言い合いがあったときも、班長の報告を受けて初めて知りました。ですから、どうしたらもっと子どもたちに目を配ることができるのか、いろいろ考え悩みました。

寄港地活動 ライフセービング ■ うれしっかたこと、楽しかったことはなんですか?

 最初は緊張して他人のような顔をしていた子どもたちが、日が経つにつれて私に馴染むようになってくれたことが一番うれしかったですね。子どものほうから寄って来てボディタッチしてくれたり、なにかあったときに家族のように気軽に私の名前を呼んでくれたりすると、この仕事をやって良かったなと思いましました。

■ 子どもたちに感心することはありませんでしたか。

 子どもたちの成長が早いことに驚きました。船上生活を共にするこのクルーズでは、規律や礼儀を大切にしています。そのことを子どもたちは短期間で覚えて身につけていきました。スポーツをしている子どもなら、ある程度はこうした経験をしているとは思いますが、そうでない子も一緒になってルールやマナーの大切さをどんどん学んでくれました。

■ どのようなかたちでクルーズを締めくくりたいですか。

 子どもたちと笑顔で別れるのも良いですが、自分としては涙の別れを経験したいですね(笑)。4月には町の税務課に異動することが決まっていますので、今後はクルーズにもなかなか参加できないと思います。ですから、その前にこのような貴重な体験をさせていただき、とてもありがたく思いました。




第6話:ライフセービングの輪を広げることができました 薄田千紗翔さん 5組 ボランティアリーダー/東京女子体育大学3年生(日本ライフセービング協会推薦)

薄田千紗翔さん ■ 薄田さんは大学のライフセービング部に所属していますが、クルーズにはどのような経緯で参加されたのですか。

 私はライフセービング協会の学生委員会に所属しており、そこでクルーズのライフセービング体験プログラムの講師を務める、協会の泉田昌美さんと知り合うことができました。

 協会では、泉田さんのような講師に加えて大学生の助手を毎年クルーズに派遣しており、その人選は学生委員会に所属する学生を対象に希望者を募り、作文や面接によって決めています。幸いにも、今年は私と10組ボランティアリーダーを務める村井亜紗子さんが選ばれました。

■ 作文にはどのようなことを書いたのですか。

 私は波が高い浜で監視活動しているので、波にもまれてトラブルを招く子どもたちをたくさん見ています。そのため、夏になると紙芝居で離岸流の怖さなどを子どもたちに説明していますが、もし私がクルーズに参加できれば500人あまりの子どもたちに紙芝居以上のことをしてあげられます。

 また、その500人の子どもたちは家に帰って友だちや家族に小笠原で体験したことを話すでしょうから、泉田さんや私が伝えたことは500人以上の輪に広がっていくはずです。そんな作文にまとめました。

ライフセービングの指導をする薄田さん ■ 実際にライフセービング体験プログラムの助手を務めて、いかがでしたか。

 レスキューチューブの使い方を子どもに教えるのは初めての経験でした。これは実際の救難道具ですから、いきなり子どもたちが正しく扱えるわけはありません。でも、どんな道具なのか実際に触れて使ってみたことで、救難活動のたいへんさが実感できたと思います。

 また、子どもたちはレスキューチューブがどんなものなのか知ったわけですから、万が一、海でレスキューされるようなことがあっても落ち着いた行動が取れると思います。

■ 組のボランティアリーダーも務めましたが、たいへんだったことはありますか。

 気分が悪くなって手が硬直し、倒れてしまう子が出てしまいましたが、夏の監視活動で見かける子と同じような様子だったので、あわてないで対処することができました。

 子どもは、気持ちの上で自分がたいへんだと判断すると、体を硬直させてしまうことがあります。この子の場合は、お風呂で長い間はしゃいだため脱水症状のようになって貧血を起こし、自分でたいへんだと思って固まってしまいました。

 ですから、体を休めながら気持ちを落ち着かせていると元気を取り戻してくれました。このときはライフセービングの経験が役に立って良かったと思いました。

■ クルーズを通じて楽しかったことはなんですか。

 やはり、子どもたちが面白そうにライフセービングを体験してくれたことですね。自分がしている活動の意味が子どもたちに伝わってうれしく思い、達成感がありました。また、初めて出会った子ども同士が日に日に仲良くなって、共同生活をしっかり送るようになっていく様子はたいへん勉強になりました。私は体育の先生をめざしているので、今回のクルーズはとても貴重な経験になりました。