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我がまちに、もやしっ子は似合わない! 〜インタービュー:福岡県柳川市 石田宝蔵 市長(柳川市大和B&G海洋センター)〜


福岡県柳川市 石田宝蔵 市長注目の人
石田 宝蔵(ほうぞう)市長


柳川市:平成17年に周辺三市町が合併して誕生。人口は約7万7千人。有明海に面する水郷の城下町として知られ、ゆっくりと水路を旅する「ドンコ舟」の川下りが有名。市内には昭和56年(1981年)に開設された柳川市大和B&G海洋センター(体育館・艇庫)があって活発な活動を展開している。

石田宝蔵(いしだ ほうぞう)市長:昭和25年(1950年)、柳川市生まれ。旧大和町職員を経て平成6年から同町町長、平成17年からは新生柳川市市長に就任。市長就任後は、平成18年にB&G「地域海洋センターサポート21」審査委員長、ならびにB&G指導者養成事業・研修修了記念講話の講師を務める。水郷の利を活かして、市内に「やまと競艇学校」を誘致したことでも知られる。


 詩聖・北原白秋や文豪・壇一雄などを生んだ文化の香りあふれる城下町、福岡県柳川市。ここは有明海に注ぐ水路が町中を巡り、豊かな水辺の景色を楽しむ「ドンコ舟」の川下りなどを求めて年間120万人もの観光客が訪れます。
 そんな水のまちに建てられた柳川市大和B&G海洋センターを、開設以来30年に渡って見守り続けている同市の石田宝蔵 市長に、いろいろなお話を伺いました。

第2話 沖縄で語ったこと

仕事に喜びを抱こう

柳川市 石田市長
平成18年度の指導者養成研修で修了記念講話を行う石田市長。技の前に心が大切であることを語ってくださいました
 市長さんは、地域の社会教育の充実を願って役場の職員をB&G指導者養成研修に派遣し続けており、平成18年度には自ら沖縄に出向いて研修修了記念講話の講師も引き受けられました。このときは、どのような話をされたのですか。

市長:各自治体から派遣された研修生には、地域の社会教育を担ってほしいという、それぞれの首長の願いが託されます。教員は免許を手にしたときから教師という目標を持って学校という現場に赴きますが、研修生にも社会教育者としての自覚を持ち、教員と同じような使命感を持っていただきたいと思います。

前回も言いましたが、誰だって我が子は大切に育てたいと願います。アドバンストインストラクターやアクアインストラクターになった人たちには、そのような宝物のような子どもたちの成長を託されるのですから、自分の仕事に大きな喜びを抱いて欲しいですね。

また、海洋センターは競艇という公益事業の基金によって建てられ、現在もさまざまな助成をいただいています。ですから、海洋センターで働く皆さんには公共の役を担う自覚を持って地域に貢献してほしいと思います。そこから、自分たちの仕事に対する誇りや達成感も生まれることと思います。

そのためにも、「リーダーって本当にすごいな!」と子どもたちの目を輝かせるほどの人間的な魅力を身につけられるよう、この研修に励んでいただきたいと思います。研修生の誰もに、そんな指導者になってもらいたいからこそ長い研修期間が用意され、カリキュラムによっては辛いこともあるのです。


大切なのは心

アクアインストラクター養成研修の研修生 全国各地から沖縄にやってきたアクアインストラクター養成研修の研修生たち。研修を通じて、プール事業に必要なさまざまなノウハウを身につけます(平成20年度の養成研修アルバムより)
  研修生のなかには泳ぎが苦手な人や、ヨットの仕組みがよく理解できないといった人も出てきます。そのような人に何かアドバイスはありますか?

市長:技術云々より、指導者の自覚を養うことが第一だと思ってください。スポーツは心・技・体の世界であると言われますが、とかく現代は技ばかりに目が向きやすい。しかし、一番大事なのは心です。

 いくら技を磨いて体をつくっても、心がしっかりしていなければ何も生まれません。人から言われなくても自ら進んで何かをする姿勢が、しっかりした心を養います。研修生はプールや艇庫で学ぶわけですから、教官から言われなくても自ら率先して器材の準備をすべきでしょう。

 逆に、人に言われなければ動かない人であるなら、どんなに優れた技を持っていても一流にはなれません。野球のイチロー選手は、人の知らないところで何百回もの素振りを毎日していると聞きました。こうした人の目に見えない努力は、心があるからできるものだと思います。

アドバンストインストラクター養成研修の研修生 仲間と海に繰り出すアドバンストインストラクター養成研修の研修生たち。1カ月の研修でカヌーやヨットなどさまざまなマリンスポーツを習得します(平成20年度の養成研修アルバムより)

努力は一流選手でなくてもできるはずです。ヨットの初心者でも、艤装に励んでいれば知らないうちに複雑な仕組みに慣れてくると思います。ですから、泳げないとかヨットを知らないからといって不安になる必要はありません。心をもって物事にあたれば自ずと道が見え、1カ月の研修を通じて水泳やセーリングもしっかり身につくと思います。

また、研修を終えて地元に戻ってからも、心・技・体の関係を忘れないでほしいと思います。最初に心があって、技はそのあとです。小さい頃から投げ込み過ぎて肩を壊してしまう野球少年がいますが、小中学生はランニングなどで体の基本をつくっておくことが第一で、覚える技も基本的なもので良いはずです。

心と体をまず整え、高度な技は体ができあがった青年期になってから磨いても遅くはありません。指導者になったという自覚を持って生理学などの教養を身につけ、心・技・体のバランスの取れた子どもを育ててほしいと思います。(※続きます)