注目の人 平成19年度小笠原特集


平成19年度体験クルーズの様子
 30周年を迎えた記念すべき今年の体験クルーズは、無事終了することができました。今回は天候にも恵まれ、例年に比べて船酔いに悩む子の数もかなり少なかったと思います。メンバーたちは、楽しい思い出をたくさん作ったことと思います。

 そこで今月の注目の人は、メンバーたちの船の生活を支えてくれたボランティアリーダー4名、そしてジュニアボランティアリーダー全員のコメントを連載でご紹介したいと思います。



第1話:いまこそ、ボランティアに励むとき!〜原口美和さん:12組ボランティアリーダー/大学生〜

原口美和さん1

 「あなたにとってのライフセービングは何ですか?」という題で論文を提出することを条件に、日本ライフセービング協会の学生部会が今回のクルーズに参加するボランティアリーダーを公募したところ、30名もの有志が名乗りをあげてくれました。

 残念ながら、同部会に用意された人数枠は2名。寄港地活動のライフセービング体験プログラムを担当してくださっている泉田昌美講師が各論文を精査したうえで代表の2名を選ぶことになりましたが、その1名が原口美和さんでした。

 大学のライフセービング部に所属し、普段はアルバイトでスイミングスクールの子どもたちに水泳を教えている原口さん。子どもが大好きなので、クルーズにもぜひ参加したいと思ったそうです。

 「スイミングスクールでは、子どもの表情を見て褒めたり叱ったりしながら水泳を教えています。そんな経験も、クルーズで活かせるのではないかと思いました。また、なにより時間がある学生のいまこそ、できるだけボランティア活動に参加すべきだと考えていたので、今回はとても良い機会になりました」

 “経験を積むほど、人に対する思いやりが深くなる”という先輩の言葉に感動して、ライフセービングを始めた原口さん。部活動を通じて人の役に立ちたいという意識が高まり、養護学校の手伝いをするなど、さまざまなボランティア活動に励んでいるそうです。

原口美和さん2  「昨年は、高校生にライフセービングを教えるプロジェクトの立ち上げに力を入れましたが、この活動を小中学生まで広めることができたらいいなと思っています。
 クルーズの寄港地活動ではレスキューの道具を使う体験を組みましたが、ここまで子どもたちに教えたのは初めてです。『レスキューの道具って、こんな風に使うんだ』とか、『本当のレスキューって大変な仕事なんだ』などと実感してもらえたのではないかと思います。

  また、ライフセービングだけでなく、カヌーやシュノーケリング、海洋観察と実にさまざまな内容が織り込まれたクルーズになっていたので、B&G財団が持つ幅広い視野に驚きました」

 子どものために行動すると、自分の気持ちも充実するという原口さん。今回のクルーズでは、とても大きな達成感が得られたと語っていました。




第2話:同じブロックの仲間と交流を深めることができました
〜脇田高洋さん:1組ボランティアリーダー/長島町B&G海洋センター(鹿児島県)〜

脇田高洋さん1  鹿児島県長島町役場の職員、脇田高洋さんが海洋センターの勤務に備えて育成士(現:アドバンストインストラクター)の資格を取得したのは平成2年のことでしたが、役場の事情があって、なかなか海洋センター勤務の辞令は下りませんでした。

 育成士の資格を取ったのは、20歳を少し過ぎたばかりのとき。さまざまなマリンスポーツの腕を磨いて意気揚々でしたが、辞令が下りるの待つうちに、どんどん年齢もかさんでいきました。

 「昨年の4月になって、やっと海洋センターの勤務が決まりましたが、思えば40歳に手が届く年齢になっていました。資格を活かそうにも年月が過ぎているので、海洋センターの運営やマリンスポーツの事情に関して、昔といまとどこがどう違っているのか把握する必要がありました。ライフセービングのプログラムなんて、昔にはありませんでしたからね」

 最近の事情を1つ1つ頭に入れながら海洋センターの仕事をこなしていると、今回のクルーズの案内が届けられました。

 「クルーズに参加すれば、ライフセービングを見ることができるうえ、船内生活を通じてさまざまなスタッフと交流できます。私にとって、これは仕事の最新情報を手にすることができる、またとない機会だと思いました」

脇田高洋さん2  さっそくボランティアリーダーに応募した脇田さん。メンバーの組をまとめるスタッフは20代、30代の若者が中心ですが、そんな輪のなかに入って脇田さんは若者に負けないバイタリティで仕事をこなしていきました。

 「組の活動に溶け込めない子が出ないよう注意しながら仕事をしましたが、最近の子は集合などでルーズな面を感じました。これには家庭のしつけの問題もあるのでしょうが、その点、クルーズでは点呼を取って整列させているので、子どもにとっては規律の大切さを知る良い機会になったのではないかと思います。

 その一方、私にとってはクルーズの仕事を通じてさまざまなセンター職員の人たちと知り合いになれたことが大きな財産です。特に、同じ南九州ブロックの方々と意見を交換し、一緒に活動できることがあれば協力しあっていこうと語り合いました」

 当初の考え通りに、多くのスタッフと言葉を交わしていろいろな情報を手にすることができた脇田さんですが、今回、実は息子さんもクルーズに参加していました。別の組だったこともあって、遠くから我が子を見守るしかありませんでしたが、クルーズを通じてどんな成長があったのか、脇田さんは家に帰って息子さんの姿を見るのを楽しみにしていました。