活動記録 日本人男子で初Vの快挙達成!!
岡田奎樹選手独占インタビュー

活動記録 B&G別府海洋クラブ出身の岡田奎樹選手がセーリングワールドカップシリーズ江の島大会2018(男子470級)で優勝

セーリングW杯江の島大会で優勝した岡田選手(左)と外薗選手。シャンパンを手に。

セーリングW杯江の島大会で優勝した岡田選手(左)と外薗選手


岡田 奎樹(おかだ けいじゅ)

1995年12月2日生まれ、福岡県出身。
5歳からB&G別府海洋クラブでセーリング競技を始め、小学校3年生の時に出場した全日本OP級選手権大会にて小学校の部 優勝。以来、OP級世界選手権、国体、インターハイの各大会で優勝を飾るなど、セーリング界の若手選手をけん引する存在として注目を集める。
2014年度から早稲田大学スポーツ科学部へ進学し、体育会ヨット部に所属。2016年7月にドイツで開催された「470級ジュニア世界選手権」において、日本大学の木村直矢選手とのペアで、日本人初の同クラス優勝を飾った。ポジションはスキッパー(二人乗りセーリング種目・舵取り役)。
2017年1月、JOC(日本オリンピック委員会)による「2017-2018年ネクストシンボルアスリート」に選出され、2018年9月に神奈川県の江の島で開催された「セーリング ワールドカップ」では、470級に出場し、外薗選手と共に金メダルを獲得。2020年オリンピック東京大会に向けての活躍が期待される。
B&G海洋クラブとの関わりは深く、5歳~小学2年および中学3年時にB&G別府海洋クラブに、また小3~中2の間はB&G福岡ジュニアヨット海洋クラブに所属していた。
※B&G海洋クラブとは…こちらをご覧ください

 2020東京五輪の前哨戦ともいわれるセーリングワールドカップ(W杯)江の島大会470級で、パートナーの外薗潤平選手(JR九州)とともに優勝を果たし、世界1の栄冠を手にした岡田奎樹選手(トヨタ自動車東日本)。東京五輪への大きな弾みになると、セーリング界も沸いている。

 W杯での日本男子の優勝は初めてという快挙を成し遂げた岡田選手に、B&Gが単独インタビューで優勝の喜びや今後の抱負を聞いた。

B&G財団からはアンドリーくんと花束をプレゼント。古山常務からの花束贈呈

B&G財団からはアンドリーくんと花束をプレゼント。古山常務からの花束贈呈

- 今回のセーリングW杯、金メダル獲得おめでとうございます。世界一の栄誉を手にした今の率直な感想をお聞かせください。 -

 実は今日、金メダルを持ってきたので、まずはご覧ください。(笑)(…と言って、岡田選手はおもむろに、リュックサックから裸のままの金メダルを取り出し見せてくださいました。まるでコンビニで買ってきたお菓子を差し出すように、気軽に)

B&G財団にてインタビューを受ける岡田選手

「W杯優勝は、ひとつのステップ」と未来を見据える

 金メダルは、もちろん嬉しいですが、ここ(W杯優勝)を目標にしていたわけではないので、達成感というより、一つのステップという思いです。(W杯で金メダルを)取らないと、オリンピック出場はないので、一つのステージを踏んだだけと捉えています。こういう結果を積み重ねていって、もっと重みのあるメダルをとりたい、というのが今の正直な思いです。

- メダルを獲得した瞬間はどう感じましたか? -

 メダルレースで勝ってメダルを取るというのが通例の形ですが、(当日は、十分な風が吹かなかったため最終レースが中止となり直前のレース結果で優勝が決定した経緯から)最終レースがなかったので、優勝決定の瞬間は棚ぼた的な感じで、なんだか物足りない思いでした。風がなかったという運に恵まれて結果的には良かったのですが、素直に「ヨッシャー!!」と喜べなかったというか(笑)…。

- それでも優勝は、最終レースまで着実に好成績を上げてきたことの結果といえます。 -

 今回は自分の得意な風、得意な海面だったので、メダルは取れると確信していましたが、正直、金メダルはどうかな・・・、と思いながら大会に挑んだので、結果を出せたことは嬉しく受け止めています。

- 緊張感あふれるレース展開。ライバルの存在も大きかったのでは。 -

 ライバルというより、最終手前のレースで2位だったオーストラリアの選手は、僕がジュニアワールド(2016年にドイツで開催された「470級世界選手権」)で優勝した時に、メダルをかけてくれた選手で、僕にとっては遠い存在であり目指すべき人でした。そういうすごい人が自分の後ろにつけている、という空気感だけで緊張してしまいますね。緊張というより、恐怖に近い感情で、スタート前は「うっわー、どうしよう~、これで終わりだー」というネガティブな思いにかられていました(笑)。

ワールドカップレース江の島大会での二人の雄姿。

W杯江の島では、ライバルたちと接戦を繰り広げた

 でも、不思議なもので、いざレースに入ればそんな不安はすっと消えていくんです。対陣を組んでレースをするセーリングでは、対戦相手全員がライバル。
 31人のライバルに勝つために自分が打つ手、すべきことなど考えることが山ほどあるので、レース前に感じた恐怖に近い緊張も、レース中は良い緊張感に変わっていきリラックスしてレースに臨めました。

- もともと、あまり緊張しないタイプですか? -

 大会では、あまり緊張はしないですね。今回の緊張感は、周囲から注目をされだしたことが大きいです。(所属)会社の社長も観戦してくださり、「見られている」ことを肌で実感しました。それと、自分にとって憧れであり目標である選手に勝っているという意識が、よくわからない緊張感を生み出す要因になったのだと思います(笑)。

- 岡田選手が持つ技術・能力が世界に通用することが証明されたわけですが、ズバリ、その強みはどこにあるのでしょう。 -

 風を読む能力は世界で一番高いと思っています。ただ、どれだけ能力を持っていても、活用できない場合もあるんです。例えば、開けた方の海風ではあまり変化がなく、風を読めたところで、変化がなければ勝てない。そういった意味では、海面の状況によっては風を読む能力も役に立たないことがあるというのも、同時に理解をしています。たまたま陸風だった今回のレースは、自分の風をうまく使えるようなコース取りをし、能力をうまく活かすことができて勝利につながったのだと思います。

- メンタルも強そうですが、総合的な面で岡田選手の強さの秘訣は? -

 強さのヒ、ケ、ツ…?う~~ん、どこだろう。あ、イメージ能力が高いのかな、というのはありますね(笑)。風を読む力にしてもイメージすることにしても、小さい頃から我流でやってきたんですけど、運が良かったのは、所属していたクラブチームの人や僕の周りにいた人たちが、本気で勝つために取り組んでいたということです。その人たちの中で、勝つための技を学び、こうしたら負けそうだ、こうしたら勝ちそうだという予測能力を磨いてきました。その正確性が結構高く、わりと想像した通りにレースが運んだり、物事が進んでいったりするので、こうしたことが逆にメンタルを支えることにつながっているのだと思います。

B&G財団で行われたインタビュー中の岡田選手

風を読むのは、世界一と威風堂々たる姿

- 目標の東京五輪も地元開催です。意気込みを聞かせてください。 -

 出られたらメダルは取れる!と思います(笑)。というか、まず出場することの方が正直難しいかなと思っていて、それをクリアして出られたら逆に簡単になるというか、そういう状況です。
 オリンピックへの出場には今後、3つのレースで結果を出さなければいけません。2019年にスペインで開かれる「プリンセスソフィア杯」、それと日本で行われる「世界大会」(予定)と「ワールドカップ」(決定)の3つです。世界大会で3位以内に入ったら、出場が即決定です。世界大会とワールドカップは江の島で開かれるので、地の利に加えて、よく知った土地だという安心感がとても大きいですね。

- ここで、話題を変えてプライベートな話に。大会前に、必ずすることや験を担いで食べるものがありますか? -

 一般的にアスリートの方々は、集中力を高めるために音楽を聴いたりすることが多いと聞きますが、僕は、携帯のアプリゲームなんです。ブロック崩しとかをよくやってます(笑)。もともとゲームが好きというのがありますが、僕の場合は、集中力をむしろ下げたいと思うタイプなんです。ゲームをしていると、意識を転換してリラックスでき、極度な緊張感を和らげてくれるんです。

 食べるものは、必ずこれを食べるというのはありませんが、和系のお菓子が好きで、羊羹や抹茶をよく食べています。肉も好きですが、ウェイトコントロールの面から、ガツガツ食べ過ぎると、体重がオーバーしてしまうので、気を付けないといけないんです(笑)。

- 休日の過ごし方は? -

 一日オフの日があると、出かけたり友達に会ったりしますね。山を見るのが好きで、登るのはちょっとしんどいからやらないんですが(笑)、車の運転も好きなので、一人でドライブして、山をぼーっと眺めて、近くの温泉で骨休めをすることなんかもあります。

- 意外に、渋いですねー。 -

 友達と楽しく過ごすことももちろん大事にしてますが、基本的には、派手に遊んだりあちこち飛び回るより、自然の中でゆっくりと過ごし、ぼーっとするのが好きですね(笑)。そこで良いことも悪いことも忘れて、リセットし、「さあ、明日からまた頑張ろう!」って。

- 間違いなく女子から高評価の岡田選手ですが、ズバリ、彼女はいますか? -

 います、います。もう、6年付き合っている彼女で、高校生の時からです。誰に似ているかって聞かれると、「榮倉奈々によく間違えられる」って、本人は、そう言ってます(笑)僕は、そうは思わないんだけど…。

- 榮倉奈々さん、キュートですよね(笑)。どういう人が好きなんですか? -

 男でも女でも、細かいことにこだわりすぎる人は苦手かな。好きなタイプがこれというより、苦手じゃない人がいい。顔も体型もあまりこだわらないけど、一緒にいてしっくりくるというか、無理のない人が好きなタイプなのかもしれません。

- 好きな芸能人とか、機会があれば会ってみたい人はいますか? -

岡田選手のたすきをかけたアンドリー君をかかえて、にっこり

岡田選手のたすきをかけたアンドリー君をかかえて、にっこり

 芸能人ではないですが、会ってみたい人は、北島康介さんですね。接点とかはまったくないんですが、北島さんの生き方にとても興味があって、お会いしたいなーと思っています。

 競泳の北島さんは、日本で活動してオリンピックでメダルをいくつか取った後、いきなり渡米されているんですが、日本でトレーニングしていて金メダルまで取ったのに、何でその後にアメリカに行かれたのか、それが不思議でしょうがなく、お話を聞きたいなとずっと思っているんです。

- 家族構成を教えてください。 -

 父と母と中学生の弟がいます。ちなみに、弟はヨットはやっていません。

- ヨットを始めるきっかけは、お父様だったようですが。 -

 父に誘われ、5歳からヨットをはじめました。当初はコーチでもありました。寡黙な人ですが、ヨットへの情熱はすごくて、父がずっとサポートしてくれて、ここまでこられた感じです。

- お父様のためにも、夢を叶えてください。 -

 まずは、東京五輪ですね。とにかく出場すること。これが最大の目標です。それが達成できたら、さっきも言った通り、メダルは取れますから(笑)。もちろん、金色を目指します!

  • 江の島大会での表彰台。金、銀、銅の受賞者たちが勢ぞろい。

    勢ぞろいしたW杯のメダリストたち

  • 金メダルを首にかけた状態での岡田選手の笑顔の画像

    わざわざ金メダルを持参してくださいました

 それから将来的には、セーリング界で人材育成をやっていきたいと思っています。僕がクラブチームでやってこられて、B&Gのような財団の方にもバックアップしてもらったということもあり、人材を育てることの大切さは身をもって分かっています。特にヨットは、小さい頃から始めることが重要で、経験の長い選手が世界で結果を出しています。幼少期からの能力育成を強化していかなければ、セーリングの未来はない。日本のセーリング界を強くするためにも、そうした人材の育成やバックアップに貢献してきたいです。

B&G財団メールマガジン

B&G財団の最新情報をメールマガジンにてお送りいたします。ご希望の方は、登録ボタンよりご登録ください。