事業内容を知る 天城町 艇庫のリニューアルから1年。その軌跡

艇庫利用者が8倍に!!
人を集め、多様な機能を備えた地域の交流拠点に転換へ
海洋センター(艇庫)を活用したモデル事業が大評判日本財団助成事業

海洋センターを活用したモデル事業の成功事例として注目されている、鹿児島県徳之島の天城町B&G海洋センターの艇庫リニューアルオープンからまもなく一年を迎えますが、この一年の取り組みや成果などを紹介した事業報告会が2月26日、天城町役場で行われ、同町の森田弘光町長以下関連行政担当者やB&G財団の菅原悟志理事長らが出席。艇庫の利用者が改修前の8倍近くまで拡大し、地域の活性化にも貢献したモデル事業の成功を喜びました。さらに、今後は、スポーツ施設の枠を超え、多様な機能を持つ地域の交流拠点に転換していく計画です。

  • 天城町B&Gセンター艇庫の写真

    リニューアルオープンから4月で1年。大きな成果を上げている天城町B&Gセンター艇庫

  • 事業報告会の写真

    2月26日に行われた事業報告会には、天城町の森田町長らが出席

利用者数が8倍に

同センター艇庫の改修は、天城町だけでなく隣接した徳之島町や伊仙町など徳之島全域で大きな話題となり、昨年4月のリニューアルオープン以降、艇庫の利用率は飛躍的に伸びています。利用者数をみると、改修前の2016年度実績が1091人だったのに対し、18年度は8531人(19年1月末現在、対前年比7.8倍)と、年度途中にもかかわらず利用者は8倍に迫る勢いです。

また、徳之島内の小・中学生を対象に、海洋性レクリエーションに親しんでもらう体験機会を提供する「マリンスポーツ教室および水辺の安全教室」の利用が大幅に増えました。改修前は10校の参加だったのが、今年度は19校(参加生徒数316人)となり、島内の半数以上の小中学校で、体験教室を利用していただくまでになりました。

  • 大きな成果を上げ、関係者らも頬が緩みます

  • 2018年4月のリニューアルオープン式典

ソフトとハード、2つの魅力

このような利用者数増加の背景について、同事業を担当するB&G財団事業部センター・クラブ課の藤田は、「2つのポイントが挙げられる」と指摘しています。まず第1には、施設機能を高度化したことです。改修前は“単なるカヌーの保管庫”だった施設を全面改修し、多目的ルームや展望デッキを増築。また、本来の用途である艇庫部分には可動式の器材ラックを配備し、舟艇保管スペースでも式典やイベントが行える構造にするなど、新たな設備を付加し、「マリンスポーツだけでなく、多様な活動を行える場所となることで、地域の人々に徐々に認知されて利用頻度が上がっていったようです」と述べています。

子育て支援にも力を入れて、ママたちからの評判も上々

もう1つのポイントは、ソフト面の充実です。センターでは「水辺の安全教室」や「マリンスポーツ教室」、ボートレース大会など海洋性レクリエーション体験の推進事業を地道に展開しています。併せて、小・中学生を対象に学習、文化、伝統などの教育を提供する「海塾」のプログラムを充実させて、毎月継続して開催してきました。さらに、島内のコミュニティの活性化を図ろうと、子育て支援にも注力し、子育て中のママ向けのヨガ教室を開き、また、全地域住民が参加できるイベントなども実施。島民の志向や興味を常に念頭に置いた形で企画を進め、艇庫をフル活用して大人から子供まで参加できるイベントや教室を精力的に進めています。藤田は、「こうした努力が実って、誰もが楽しめる場所として通年での施設活用が可能となり、名実ともに施設の魅力と利用価値が増したようです」と成果の要因を分析しています。

 

艇庫内にある売店、4月オープンへ

新生艇庫となり、1年目は大成功を収めた天城町B&G海洋センターですが、さらに真価が問われるのが来年度の動向です。今年培ってきた運営ノウハウをさらに強固にし、各方面への周知を強化していくことが必要と考えています。具体的には①年間事業の充実化②艇庫の開館時間の見直し③艇庫オフシーズンにおける活用の拡大―などを検討。このほか、改修時に新たに設けた艇庫内テナントスペースを、4月を目標にオープンさせる計画です。地産地消を旗印に、マンゴーや農産物など地域の特産品を販売するほか、ハンドメイド品なども取り扱っていく予定です。

今後は、住民参画型の「総合型スポーツクラブ」を立ち上げ、地域の組織や団体と連携した活動を目指していきます。将来的に、この総合型スポーツクラブが指定管理者として、B&G海洋センターを含めた地域の公共施設の運営を担うこともできるよう、より活発な住民サービスも視野に入れた事業にも着手していく予定です。

海洋センターの前面では、SUPにいそしむ子供たちの姿が

 

天城町海洋センター(艇庫)を活用したモデル事業の実施経緯

天城町海洋センターの艇庫は、海洋センターを活用したモデル事業の対象事例として、2017年度事業で改修を決定。総事業費約6500万円のうち3000万円をB&G財団からの助成金として加え、施設の大規模な改修を行って、翌18年4月にリニューアルオープンしました。

施設は、従来の平屋艇庫を2階建てに増改築し、1・2両階に多目的ホールを新設。艇庫も改築し、シャワーやトイレ、スロープ付きのウッドデッキなどを敷設したほかテナントスペースも設けている。子宝の島として知られている徳之島にちなみ、「子宝の島」の「子育ての基地」をコンセプトに事業を展開し、艇庫を利用したモデル事業のケーススタディとして広く注目を集めている。

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