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各種事業/活動記録

「水に賢い子どもを育む年間型活動プログラム」導入センター研修会開催!!

発見

普段は見落とすぐらい小さな生物。でもちゃんと生きています。そこには新鮮な発見があります。

〜「体験から学ぶ」を体感!自然体験活動の充実に新たな手ごたえ〜

 平成23年4月16日(土)・17日(日)の2日間、東京で「水に賢い 子どもを育む年間型活動プログラム(通称:水プロ)」導入センター研修会(日本財団助成事業)を開催しました。これは「水プロ」による子どもたちの更なる学習効果向上のため、地域の枠を超えて指導者同士の連携と意識の共有化を図ることや、指導者のスキルアップを目的としており、今回は全国で「水プロ」を導入している小学校教諭と海洋センター指導者の計21名が全国13地域から参加しました。1日目はB&G財団の事務所がある東京都の海洋船舶ビルでプログラムの指導手法や安全管理の講義や事例発表を通して、指導力のスキルアップや情報の共有を図りました。2日目は葛西臨海公園でのフィールドワークを行い、実際の授業でどのように水プロを展開すればよいのかを体験しました。参加者は「体験から学ぶ」を体感し、今後の自然体験活動の充実に新たな手ごたえを得ているようでした。

【1日目】

講義

参加者は真剣に講義を聞いてメモを取っていました。

 初日の研修はB&G財団の会議室で行われ、事業部部長古山透の挨拶後、参加者の自己紹介を行いました。自己紹介では水プロ初導入の学校もあり水プロ初導入への不安や、総合的な学習の時間が減ったことによるプログラム作りへの不安、異動による引継ぎ等の不安が多く聞かれました。

初日の講義は株式会社自然教育研究センター取締役の古瀬浩史氏による「インタープリテーション」と、B&G財団事業部海洋教育課課長の吉澤拓也による「安全学習」を実施しました。

古瀬氏の講義では、体験学習の手法である「インタープリテーション」について実技を交えながら解説いただきました。「インタープリテーション」では、クイズやゲームなどの遊びの手法を活用し、子どもたちの緊張を解きほぐす“アイスブレイク”を大切にしています。そしてその“アイスブレイク”を通じ、自然への興味付けを行い、学習意欲を高めていきます。参加者からは、指導法が新鮮に感じられるとともに、“アイスブレイク”の重要性を再認識したとの声が聞かれました。

ゲーム

葉っぱのゲーム中。封筒に入った自分の葉っぱを観察し、言葉だけでそれを表現して同じ葉っぱの人を探します。

またB&G財団海洋教育課課長の吉澤拓也による「安全学習」では、「安全はすべてに優先する」との考えのもと、「東日本大震災」の被害状況や海洋先進国であるイギリスの事例にも触れつつ、安全管理の基礎や、留意点などの発表がありました。

今研修では講義のほかにも徳島県美波町立由岐小学校の森下元文先生や、島根県出雲市平田海洋センターの曽田宏一氏による「水プロ」の事例発表がありました。森下先生からは、年間活動計画作成や、教育課程指導時間の確保、活動場所への移動方法、また「水プロ」の効果など教員の視点に立った発表がありました。また曽田氏からは、実習場所の下見の重要性や、地域で協力することの大切さ、先生と打ち合わせの時間を取ることの困難さなど、授業をサポートする海洋センターならではの発表がありました。今回は「水プロ」初導入の小学校教諭や海洋センター担当者も参加しており、具体的な授業方法や、問題点・留意点・改善点など、意識や情報の共有を図ることができました。

公園

二日目の葛西臨海公園は東京で一番のバードウォッチングスポットです。この日はめずらしいミヤコドリが観察できました。

興味しんしん

古瀬氏の「インタープリテーション」の講義の成果。参加者は普段見落としがちな葉脈の模様に興味しんしんです。

学び

古瀬氏の講義。身体を使った「学び」と、頭を使った「学び」を織り交ぜ、参加者の集中力が途切れないように工夫をしていました。

魚介ラーメン

ラーメン!?いえいえ、本日採取した生き物たちです。

夢中

子どもにもどったように無邪気に生き物を探します。

観察

採取した生き物の観察。顕微鏡で見ると新鮮な発見がたくさんあります。

プランクトン

プランクトン観察。かすかに動物性プランクトンが動いているのが見えます。

【2日目】

 2日目は葛西臨海公園に移動して干潟での体験学習がスタート。1日目に引き続き、古瀬浩史氏による実際の「インタープリテーション」を体験しました。渡された道具の使用方法を教えてもらった後はいよいよ実習。参加者は童心にもどり活き活きとした表情で干潟に住んでいる生物を探索しました。採取した生物を古瀬氏の説明を聞きながら顕微鏡やマイクロスコープなどを使って実験・観察し、その後鳥類園に移動し実習で採取した生物を例に食物連鎖の振り返りをしました。「インタープリテーション」の指導手法では、体験活動で湧いた興味・関心・疑問が最後の「まとめ」で整理され、生きた知識として定着するということを参加者は実感しました。

 

今回の研修会では参加者自身が実際に「体験から学ぶ」ことを体感し、「インタープリテーション」が“導入”、“体験”、“まとめ”の三部で完成することを学びました。また事例発表や講義で意識の共有化が図れ、参加者間で今後につながる関係もつくれました。今年度の水プロはここからスタートです!!

 

【参加者感想】

『今回の研修で実際に「インタープリテーション」を体験して“導入”の大切さを実感しました。次の研修会でも実習を取り入れてほしいです。普段から安全の確認・確保に努めているが、今回の講習を受けて見落としがないか改めて確認するとともに、もっと地域色を出したプログラムを考えていきたい。』 (徳島県美波町立由岐小学校の森下元文先生)

 


まとめ

最後の振り返り。振り返りは体験して得た知識の整理や定着の観点から「インタープリテーション」では非常に重要視されています。

集合

全員で最後に記念撮影。天気にも恵まれ有意義な二日間でした。