「運動好き」な子どもほど運動能力が向上! (日本財団助成事業)
〜B&G幼児フロアリズム運動プログラムの有効性が立証されました〜
6箇所の地域海洋センターにおいて、2007年5月から2008年2月までの期間に延べ1,107名の幼児運動能力測定が行われました。
そのうち、ある海洋センターで9ヶ月の「B&G幼児フロアリズム運動プログラム」に参加した幼児と、しなかった幼児の前後2回の測定データを比較して、運動プログラムの効果を検証しました。
分析対象となった測定項目は、ローレル指数(身長(cm)÷体重(kg)×107で算出)、25m走、立幅跳、前屈、ソフトボール投げ、体支持、ケンパ、跳越の8項目です。
■ 運動プログラム参加者と非参加者の比較
本分析では、センターNo.25のみ地域性を考慮しかつ評価間隔も同一であり、比較可能なデータ数であることから、96名のみに対象を絞った分析を行った(表1)。
対象は全て5歳児で、プログラム参加者は65名(男子40名、女子25名)、非参加者は31名(男子19名、女子12名)であった。
その結果、ローレル指数、25m走、立幅跳、跳越は、参加者のみで有意な向上・改善が見られ、前屈は非参加者のみ有意な低下が見られた。特に、立幅跳(p<0.05)、前屈(p<0.05)の2項目では、参加者と非参加者の変化の仕方に統計的に明らかな違いが認められた(図1,図2)。
表1 センターNo.25(評価間隔9ヶ月)の参加者・非参加者の前後の測定結果
■ 考察
子どもたちは、成長の影響により総じて運動能力の向上が期待されるが、定期的で適度な運動実施によって、さらに促進されることが期待できる。
非参加者に対して参加者の方が、有意な向上・改善を示した項目が多く見られた。
プログラムの効果を検証したところ、プログラム参加者のみに見られた有意な変化が、ローレル指数の低下、25m走の向上、立幅跳の向上、跳越の向上であり、一方プログラム非参加者のみに見られた有意な変化は、前屈の低下であった。
以上のことから、運動プログラムへの参加が、@小児肥満への移行を抑制するA柔軟性の低下を防ぐB走る、跳ぶ、投げる、支える、巧みに動くといった身体パフォーマンスを高める、可能性が示唆された。
ただ、この変化はプログラムのみの影響ではなく、プログラムへの参加を通して「運動好き」になり、日常的に活発な生活を送るようになった結果として捉えるべきである。
図1 立幅跳の参加者・非参加者の前後変化
図2 前屈の参加者・非参加者の前後変化
協力:身体教育医学研究所(長野県東御市)