平成19年6月9日(土)、10日(日)の2日間、京都府宮津市で、『水辺のインタープリテーション研修会』が開催され、北は北海道から南は鹿児島県まで、16センター16名の海洋センター担当者が参加しました。
古瀬 浩史氏(自然教育研究センター主任研究員)と仲上美和氏を講師に迎え、新たに“インタープリテーション”という教育手法を、フィールド活動やグループディスカッションなど実体験を通して学び、指導者として更なるスキルアップを図ります。
参加者は、童心にかえり、自ら楽しみながら、笑顔いっぱいの研修会となりました。
■講師の紹介
古瀬浩史 氏
インタープリテーションにおいて
大切にしたいこと
【4つのTの原則】
★楽しいものであること
★体験を大事にすること
★共に体験を分かち合い、
互いに学び合うこと
★地域性を重視する
■1日目 6月9日(土)
雨が降り、稲妻が走る空模様の中、参加者16名を迎えて、開講式が行われました。開講式では、宮津市 井上正嗣市長から歓迎の挨拶をいただき、研修会がスタートしました。
まずは、参加者同士がうちとけあって、より親しくなるためのアイスブレーキング。お互いに質問しあって、1つの順序を決める“ラインナップ”、3つの答えの中から自分の好きなものを1つを選び、それについて話し質問し合う“フォースドチョイス”、相手に発問しYESかNOかの答えだけを頼りに自分が誰なのかを当てる海版“私は誰でしょう”などが行われました。このユニークなアイスブレーキングにより、他の参加者について知ることができ、緊張していた参加者にも笑顔が見られ、16名で一緒に学んでいこうという和やかな雰囲気ができました。
また、4つのグループに分かれ、用意された3種類の砂を顕微鏡やルーペで観察して、“どこ(どういった)の砂浜の砂なのか”を想像してグループ毎に話し合うグループワーキングも行いました。
海版“私は誰でしょう”
背中に生物カードを貼り、他の参加者の回答をもとに自分は何の生物かを当てます
『私は泳げますか?』『いいえ』
ということは、私は泳げない生き物で・・・
■1日目 6月9日(土)
午後からはフィールドに出ての活動。グループで協力して、いろいろなプログラムを実際に体験しました。
潮の干満の説明では、広場にある地球儀を使って、縮尺した地球と月の距離を実際に歩いてみたり、好きな色鉛筆を選び、それと同じ自然物を海辺で探したり、フィルムケースに隠された植物のにおいを嗅いで、においだけを頼りにそれと同じ植物を持ってくるなどを体験。興味深く、すぐに活用できるプログラムばかりで、参加者には大変好評でした。
また、磯観察では、カニ、ヤドカリ、ウニ、アメフラシなどを採取して観察・調査しました。参加者は熱心に、楽しく取り組んでいました。
地球と月は、どの位離れているの?
田井浜をビーチコーミング
!
夕食後には、“コミュニケーションに関する実習”が行われました。1way(一方向)のコミュニケーションと2way(相互)のコミュニケーションでは、どれくらい伝達効果が異なるのかを体験しました。自然体験活動を実施する場合は、指導者と参加者が、お互いの顔を見ながら、質問をし合って進めていくマルチなコミュニケーションが効果的なようです。
■2日目 6月10日(日)
翌日は、早朝6時30分からフィールドビンゴを開始。自然界のふわふわしたものを探したり、植物の種がいくつ入っているのかを予想したりしました。
朝食後は、グループ毎に課題(統計データ)が渡され、その事実を“インタープリテーション”の手法を活用して、どのように伝えるかについて検討し発表を行いました。どのようにしたら、わかりやすく、楽しく伝えられるか、皆、頭をひねりながら創意工夫し、成果を発表しました。
『シジュウカラは、約1分に1回、1日に
約800回、雛にえさを
与える』というデータを
わかりやすく伝えるために・・・
3パターンの生活習慣を描いた円グラフを
提示し、クイズ形式で参加者に体験的に
学んでもらいます
『毎年、日本全国で、160ヘクタールの
海岸が侵食されて国土が失われている』
というデータを伝えるために・・・
甲子園球場(4ヘクタール)が40個分
の国土が減っていると説明しました
その後、講師の古瀬さんから“インタープリテーション”についての講義が行われ、昨日実施したそれぞれのプログラムの目的・ねらい・意味について説明を受けました。実際に体験した後のため、理解しやすかったようです。
昼食後には、インタープリテーションの手法を地元でどのように活用するかを検討し発表。
『クリーンキャンペーンを実施する時にインタープリテーションを活用した自然体験を入れてみようと思う。』『ニュースポーツのルール説明時に2wayのコミュニケーションでやってみる。』など、たくさんの意見が出ていました。
この研修会に参加したことによって、今後の仕事の幅を広げることができそうです。
すべての研修が終了し、最後に参加者全員に修了証が手渡され、2日間の研修会が終わりました。
■集合写真